迅速な初動対応を可能にする防災訓練とは?③
[課題2]発災時の出勤

2022.03.25防災訓練特集
事業継続力強化計画(ジギョケイ)実践講座 ~防災訓練編~

本動画では、5回シリーズの記事をまとめてご紹介しております。
ぜひ記事と合わせてご覧いただければ幸いです。

2011年3月の東日本大震災の際は、帰宅困難者が続出。駅の周辺や路上で夜を明かす人が続出した

災害に遭ったらどういった行動をすべきか?

前章では、災害対応訓練において参加者にリアリティーを感じさせる仕掛け、例えば机上訓練に入る前に災害シミュレーション動画を視聴して臨場感を持たせることで、訓練における明確な目的意識や防災に対する動機付けなどの重要性について述べた。

次のステップとして、ここでは地震に遭遇した際、その状況ごとに従業員はどういった行動を取ればいいのか、また企業は従業員の安全を守るために、どういう取り組みをすればいいのか、災害時の対策について検討してみたい。

災害に遭った際、どういった行動をすればいいのか。場所ごとに注意すべきポイントは次のサイトで確認できる。

(参考)
総務省消防庁 防災マニュアル

職場やオフィス街、エレベーターといった勤務している場所周辺のほかに、山・丘陵地、川べり、海岸といった自然災害が特に起きやすい場所、さらに新幹線、鉄道、バス、クルマ(運転中)といった交通手段で移動している状態などいくつかシーンを分類し、それらの状況ごとの適切な行動について明記している。どんな状況においてもまずは自分の身の安全を守るために、このマニュアルに記載している内容はぜひ知っておきたいものだ。

では、会社が取り組むべき緊急時の対応、安全対策はどのように決めればいいのか。まずは、以下の二つの設問について、グループディスカッションで意見を述べてみたい。

<ディスカッションの進め方>

  • 1)あらかじめ4〜5人のグループに分かれ、グループごとに座ります。
  • 2)グループ内で、各人が個人ワークを紹介しながら話し合います。
  • 3)各グループの代表者が、話し合いの中で出た意見をまとめて発表します。
  • 4)他グループの意見を聞き、気付いた点を参考にすることで新たな課題解決につなげます。

[設問①]
「休日や出勤前に発災した場合」の従業員の行動指針について

[設問②]
「出勤途中に発災した場合」の従業員の行動指針について

「休日や出勤前に発災した場合」の従業員の行動指針

従業員に対して、災害時はどんなルールを決めておくことが大切なのか。企業や団体、自治体等に防災訓練の指導をしている中小企業基盤整備機構(中小機構)アドバイザーの山崎 肇氏によれば、休日や出勤前に発災した場合、以下の項目に基づいて行動指針を検討すべきだという。

「休日や出勤前に発災した場合」の従業員の行動指針について

●従業員および家族の安全を最優先し、以下が確認されなければ、原則自宅待機とする

  • 1)公共交通機関の運行や通勤経路の安全が確認できること
  • 2)会社および会社周辺の状況が安全であること
  • 3)気象庁、国、地方自治体からの避難指示・警報等が解除されていること

●休日に発災した場合で、各種業務(生産活動や各種サービス等)を継続させるための復旧作業等がある場合は、安全が確保されていることを前提に、休日出勤を求める

「従業員の安全が確認できたからといって、すぐに出勤を指示するのではなく、通勤経路や会社、会社周辺の安全がすべて確認できるまでは、原則自宅待機にします。まずは従業員の安全が最優先です。そのうえで、事業継続のための復旧作業等で人員が必要であれば、安全が確保されていることが前提で、休日出勤を求めるといった次の行動に移すべきです」(山崎氏)

従業員が意見を出し合い、会社側はそれらの意見を反映しながら事業継続のための道筋を立てる。二次災害を避けるためにも、会社が取り組む防災対策は安全を最優先に検討すべきだろう。

「出勤途中に発災した場合」の従業員の行動指針

次に出勤途中に発災した場合について考えてみたい。出勤途中の状況に応じて従業員が自ら判断できるようにするため、事前にルールを決めておくことが望ましいと山崎氏はいう。

「出勤途中に発災した場合」の従業員の行動指針について

●安全に自宅に戻れる場合は自宅待機とする。ただし、対策本部要員は別の運用でも可

●既に会社付近まで来ており、安全に出社可能な場合は出社してもよい

●最寄りに会社施設(営業所、店舗)等がある場合は、そちらへ出社してもよい

●帰宅も出勤もできない状況の場合は、会社へ状況を報告するように努める

●事前にルール化しておくことが望ましい

2019年6月に起きた大阪府北部地震の際の行動を分析したデータがある。これによると、会社からの指示がない割合は70%で、災害時は各従業員に指示するのに手が回らない企業が多かったことが分かる。

災害が発生すると、場合によって連絡が取りづらい状況が続き、会社側と従業員の意思疎通を図るのに時間がかかることが考えられる。また、防災担当者や総務などと連絡が取れない状況になると、会社側で安否確認の対応(指示を含む)をする人員が一時的に不在になる。そうした場合を想定し、従業員がルールに従い、各自安全に行動できる指針を事前に決めておけば、より安全な対策にすることができる。

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