なぜ日本は自然災害が多いのか

2021.01.08全般

日本は美しく豊かな自然に恵まれていますが、同時に地震、津波、火山噴火、台風、季節風による大雨、大雪などさまざまな自然災害が多発する国でもあります。また、近年は激しい気象現象が増え、企業に対する災害の脅威は高まっています。

このシリーズでは自然災害に備える企業の皆さんに向けて、各事象の特徴、被害例、対策について紹介したいと思います。

第1回目の今回は、日本で自然災害が多発する理由について考えます。

日本で多発する5つの自然災害

1. 地震

地震には、海側のプレートが陸側のプレートの下に潜り込むときに起きる地震(海溝型)と過去に地震が発生しこれからも活動すると考えられている活断層による地震(直下型)があります。

図1のように日本は4つのプレートがぶつかりあい海溝型の地震の発生しやすい位置にあります。また、日本の活断層は3000以上あると言われており、まさに地震の巣窟の上に私たちは住んでいるといえます。

図2は日本付近の地震を図示したものです。地震は突然発生します。いつ起きても対応できる訓練、対策が肝心です。

図表1 日本付近のプレート

日本付近のプレート

図表2 日本付近で発生する地震

日本付近で発生する地震

図表2の出典:気象庁HP「地震発生のしくみ」

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/jishin/about_eq.html

2. 津波

東日本大震災による大津波は目を覆うような被害をもたらしました。海底の地震により、海底の隆起(沈降)が津波を発生させます。津波は海が深いほど速く伝わり、浅い陸地に近づくと波は急激に高くなります。

また、津波の伝搬距離は長く、1960年のチリ地震により日本でも太平洋側沿岸に大きな災害をもたらしました。

周囲を海で囲まれ、海溝型の地震が多い日本では、津波への警戒が必要です。水深5,000メートル以上の深海では津波の速度はジェット機並みの猛スピードになるため津波がくるまでの時間はありません。沿岸部では日頃から避難場所や避難経路を確認し迅速に動ける訓練が欠かせません。図表3の写真は大船渡市の神社にある樹齢1400年の三面椿です。住民の方のお話では、「ここまでは津波は来ないと教えられ、避難訓練の集合場所となっています。東日本大震災ではこの木の直前まで津波はやってきました」とのことでした。

図表3 大船渡市の三面椿

大船渡市の三面椿

3. 噴火

図表4に示す通り日本には111の活火山があります。世界の火山の7%にあたります。また、活動を24時間体制で監視している常時観測火山は50に上ります。観光地として私たちを楽しませてくれる火山ですが、これまで何度も噴火による被害を受けました。

最近では御岳山が突然噴火し死者を多数出しました。また、口永良部島、三宅島では全島で避難する大噴火となりました。

明治時代の磐梯山爆発では小磐梯の山体が崩れ落ち麓の村々が埋没する被害を受けました。また、江戸時代の島原雲仙岳の噴火では眉山が崩壊し有明海に大量の土砂がなだれ込み、肥後側に津波が発生しました。「島原大変、肥後迷惑」です。

噴火では吹き飛ばされる噴石だけでなく溶岩流、火砕流、火山ガスなどでも大きな災害をもたらすことがあります。また、降灰などにより交通、電気、通信、上下水道や農水産物、健康に大きな被害をもたらします。2010年に発生したアイスランドの火山噴火では、ヨーロッパ中の航空機の運航が約1週間停止されました。

図表4 我が国の活火山の分布

我が国の活火山の分布

4. 台風

日本は南海上で発生し北上する台風の通り道にあり、夏から秋にかけて毎年のようにやってきます。台風は、一般に海面温度が27度C以上で発達しますが、近年は日本近海も海面温度が上昇し、発達を続けながら日本列島に接近してくることが珍しくなくなりました。春先は西に進み影響はほとんどありませんが、夏からは北(東)に進路を変え日本に近づくようになり、9月になるとさらに東寄りに進路を変え、日本列島直撃のコースをとるようになります。

今年(2020年)は台風の上陸はなかったものの、8月の終わりから8、9、10号が沖縄、九州に3週連続で接近し、沖縄、九州地方に大雨を降らしました。

また、10月には日本の南海上で発生し接近した台風14号が、停滞していた前線を刺激し伊豆諸島で特別警報が出るほどの大雨を降らせました。

台風が近づくと暴風や大雨だけでなく、高潮や高波にも注意が必要です。1959年(昭和34年)の伊勢湾台風では高潮による死者・行方不明者が5,000人を超えました。

図表5 令和2年台風10号の衛星赤外写真

令和2年台風10号の衛星赤外写真

出典:気象庁HP 速報「令和2年台風第10号について 令和2年9月7日沖縄気象台」

https://www.jma-net.go.jp/okinawa/data/kencho/T2020/T2010.pdf

5. 季節風による大雨

春から夏、夏から秋の季節の変わり目には季節風の影響でしばしば大雨が降ります。険しい山が多く急流河川の多い日本では、河川の氾濫、土砂災害が起きやすく、毎年のように被害が発生しています。土砂災害危険個所は全国に52万か所以上あると言われています。また、最近は、短時間に激しい雨が降ることが増え危険がさらに高まっています。

今年(2020年)の7月は九州、西日本から東北地方にかけて記録的な大雨が降り、球磨川をはじめ多くの河川で氾濫が相次ぎました。昨年(2019年)の8月は九州、10月も千葉県、福島県でも記録的な大雨になりました。「これまでに経験した事のない・・・」「数十年に一度の・・・」という言葉を頻繁に聞くようになりました。

図6は1時間降水量50ミリ以上の年間降水発生回数です。近年、短時間に集中した大雨が増えていることが分かります。

図表6 全国の1時間降水量50mm以上の年間発生回数の経年変化(1976~2019年)

全国の1時間降水量50mm以上の年間発生回数の経年変化(1976~2019年)

出典:気象庁HP「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」

https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html

終わりに、今年(2020年)12月4日に気象庁から発表された、「日本の気候変動2020」から報告の一部を紹介します。
「日本国内の大雨及び短時間強雨の発生頻度が増加している」
「今後も雨の降り方が極端になる傾向が続くと予測される」
「日本付近の台風は、強度が最大となる緯度が北に移動している」
「降雪・積雪は減少するが、大雪のリスクは残りうると予測される」。

地震だけでなく、激しさを増す気象。自然災害のリスクは高まる一方です。低地に人口が密集、山間地で過疎化が進んでいる日本では災害は拡大します。

自然災害から会社を守る備えは待ったなしです。

今回のコラムは気象庁HP、特に「知識・解説」を参考にしました。さらに詳細を知りたい方はこちらをご参照ください。

気象庁HP URL http://www.jma.go.jp/jma/index.html

また、災害に備える「事業継続力強化計画」について知りたい方は、こちらをご覧ください。

中小企業基盤整備機構 事業継続力強化の頁:HP https://www.smrj.go.jp/sme/enhancement/kyoujinnka/

【プロフィール】
中峰 博史 独立行政法人中小企業基盤整備機構チーフアドバイザー
 総合電機メーカーに35年勤務し、販売管理、生産管理、品質管理、技術開発における情報システム企画、開発に従事。独立後、経営改善、ものつくり現場の効率化、販路開拓、事業継続計画策定などの支援を中心に活動を行っている。
 中小企業診断士 気象予報士 防災士

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