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〈シンポジウム登壇者インタビュー〉
株式会社ティ・ディ・シー 代表取締役社長 赤羽 優子 氏
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昨年12月6日未明、小惑星リュウグウから砂などを持ち帰った探査機「はやぶさ2」が地球へ無事帰還したニュースは大きな話題を呼んだ。採取した試料を収めるアルミ製容器の内側研磨をしたのが、宮城県のティ・ディ・シーだ。同社が持つ研磨技術は、他社では実現できない高精度なもので、日本国内だけでなく世界からも多くの依頼が舞い込んで来る。
東日本大震災では、同社も大きな被害を受けた。が、赤羽優子社長には「津波など大きな被害を受けたところと比べれば、自分たちはまだ被害が少ない方だった」という思いがある。もっとも日本の製造業は、これまでも国内外の景気変動の影響を強く受け、いろいろな危機に直面し、乗り越えてきた経緯があると赤羽社長は語る。その中で、いかに事業を強靱なものにするかを探ってきた。
ティ・ディ・シーが独自の技術開発を目指すきっかけとなったのは、大手企業の下請けからの脱却を決めたことだった。売り上げはガクッと落ちたが、他社ではできない小さな仕事を受注し続け、苦労しながら実現していく。そこでオンリーワンの技術を獲得してきた。こうした「日々の積み重ねが成長スパイラルを生むのです」と赤羽社長。そして今では、はやぶさ2や米航空宇宙局(NASA)のプロジェクトからの加工依頼を受けるまでに成長した。
品質保証にも力を入れる。ナノオーダー水準の製品の品質保証は簡単ではない。1台で数千万円もする測定機を何台も導入し、積極的な設備投資を行っている。これは、顧客企業に安心を与えるとともに、世界的なブランドを作る上でも役に立っている。
そして、赤羽社長がこだわっているのが、積極的な自社のPR活動だ。このコロナ禍でもユーチューブを使って独自のウェブ展示会を行うなど、工夫を凝らす。ホームページには、それを見た企業から毎日のように問い合わせが入ってくる。
働き方改革も意欲的に進めている。ひとりの人が複数の仕事を行えるように多能工化することで、部署間での助け合いが生まれ、残業もほとんどなくなった。それを新しく入った社員へ自然と技能伝承する形ができつつある。また、女性の比率が3割と製造業としては高く、女性が働きやすい職場を作ることで、男性も働きやすく、また誰でも意見を言い合えるような職場の雰囲気作りが大事だと赤羽社長は言う。
宮城県は2011年3月11日の東日本大震災だけでなく4月7日にも震度6強の余震に見舞われた。ティ・ディ・シーでも、それまでに復旧したものがまたゼロに戻ってしまい、赤羽社長も心が折れそうに。それを支えたのは「御社がなくなったら困る。がんばってほしい」という、顧客企業からの支援の声だった。それに答えていくなかで、様々な外的要因にも耐えて、持続的な事業継続が可能な会社の姿ができ上がった。それが、オンリーワンの技術を磨くという姿だ。
だからこそ、研究開発には継続的に資金を投じる。足元で大変なことが起きている時でも、未来へつながる投資は続ける。そんな姿勢を赤羽社長は貫いている。技術力を常に磨き上げることで会社を強くし、震災など“有事”に備える。言うは易く行うは難し──。それを実践できている勘所を、赤羽社長が明かしてくれる。
赤羽 優子(あかばね ゆうこ)
株式会社ティ・ディ・シー 代表取締役社長
1997年東北学院大学法学部卒業後、広告制作会社勤務を経て2000年株式会社ティ・ディ・シー入社。2015年より同社代表取締役社長。株式会社ティ・ディ・シーは宮城県宮城郡利府町に本社を構え、超精密研磨のオンリーワン技術を強みとし、幅広い分野に事業を展開。2014年「グローバルニッチトップ企業100選」、2016年「地域未来牽引企業」、2020年精密工学会「ものづくり賞」、2021年「富県みやぎグランプリ」などの表彰や認定を受けている。
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