この連合会が、事業継続力強化計画を策定することになったきっかけは、コロナ禍による組合員事務局および商業施設の休業でした。
「ある組合員の事務局で多くのスタッフが新型コロナウイルスに感染し、業務ができなくなったのです。商業施設そのものも、半月ほどの休業を余儀なくされました」(竹内氏)
さらに2020年9月には、最大震度5弱の地震が福井県を襲います。
「一部の商業施設で、建物が被災しました。休業するほどの被害ではなかったことが、不幸中の幸いでした」(竹内氏)
このコロナ禍と天災を経験した竹内氏の心に浮かんだのは、すでに自身が理事長を務める「協同組合福井ショッピングモール(愛称:Lpa、エルパ)(以下、Lpa)」で策定していた事業継続力強化計画を、連合会でも活用できないかということでした。
「2020年にLpaで『ものづくり補助金』の申請に取り組んでいたとき、加点項目に事業継続力強化計画が含まれていることを知りました。加点をぜひとも得たいと思い、中央会、中小機構の支援を仰ぎつつ、Lpaとして計画策定を行ったのです」(竹内氏)
コロナ禍や地震による被災は、決して大きな組織ではない組合員が単独で対応するには難しい課題です。竹内氏は、連合会として事業継続力強化計画を策定し、組合員同士で助け合う仕組みがあれば、そうした課題に立ち向かうことがより容易になると考えたのです。
「コロナ感染が拡大した事務局は、どうすればいいのかと途方に暮れたはずです。実際、どの組合員も同じ状況になるでしょう。であれば、そもそも情報交換を目的に生まれた連合会が、そうしたコロナ対応、さらには天災対応のノウハウを共有し、お互いに助け合うことができれば、被害を最小限に食い止めることができるのではないかと考えました。そこで中央会、中小機構に相談にうかがったところ、策定に向けての支援を快く引き受けてくれました」(竹内氏)
想定される リスク |
リスク発生による影響 |
対応策と効果 |
地震 |
- 営業中に被災した場合、設備の落下、避難中の転倒などによりケガ人が発生する
- 夜間に発生した場合、翌営業日の従業員確保が難しくなり営業不能が想定される
- 配管等が破損した場合は復旧が長期化することが想定される
- 事業所内サーバーの破損で重要データが喪失すると、事業継続が難しくなる
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- 組合員ごとに避難場所を定め、避難ルートを策定する
- 共同店舗は共同店舗構成者の連絡先リストを作成し、メール、SNS、電話で安否確認する
- 連合会、被災共同店舗はそれぞれ災害対策本部を設置し、情報収集、発信を行う
- 平時において連合会と共同店舗は災害に備えて協力方法や訓練、教育について取り決めを行う
- 災害発生時には被災した共同店舗に対する応急対応、復旧作業に従事する人員の派遣、応急支援物資の供給など、「災害時相互応援対応連携協定書」に基づき実施する
- 連合会、連携事業者の重要な情報はバックアップ体制を整える
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積雪 |
- 従業員の出社および帰宅が困難になり、営業が不能となる
- 駐車場が使用不能となり、お客さまの来店、従業員の出社が不可能となる
- 物流の停滞により仕入れ、配送ができなくなる
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感染症 |
- 感染症の発生に起因する移動制限で、従業員確保が難しくなり、営業不能が想定される
- 衛生用品が入手できなくなり、従業員の感染症防止対策を講じることができなくなる
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