熊本市街から阿蘇くまもと空港へアクセスする道路として整備された県道36号線と、九州縦貫自動車道・益城熊本空港インターが交差する非常に交通が便利な場所に熊本輸送団地協同組合がある。
同組合は、1974年11月に貨物自動車ターミナル等集団化事業で設立。現在は運送業9社、自動車整備業1社の計10社が組合員となっており、まもなく50周年という節目を迎えようとしている。
現理事長の永井正人氏は、2017年5月に7代目として就任した。永井氏は就任する前年に起きた熊本地震の被災経験から、組合のBCP策定の重要性や災害対策に対して強い思いを持って取り組んできた人物である。
「4月14日夜(21時26分)に起きた地震では、それなりに大きい地震ではありましたが、施設は持ちこたえることができたので、とりあえず安心していました。しかし、今振り返ればそれが前震でした。その2日後にまさか大きな本震が来るとは、まったく想像もしていませんでした」(永井氏)
最初の地震発生から約28時間が経過した4月16日深夜1時25分に、マグニチュードM7.3、上益城郡益城町及び阿蘇郡西原村において最大震度7を観測する巨大地震が発生した。
「とにかく驚きました。深夜に起きた地震ということもあり、どんな状況なのかまったく分からず、無心でこの団地に向かいました。すると、やはり建物には大きな被害が出ており、倉庫内のラックはほとんどが倒壊。そこに収めている得意先の荷物は無残にも崩れ落ち、周囲に散乱している状態でした」
深夜だったことが唯一の救いとなり、倉庫内には誰もおらず、人的被害は皆無だった。だが夜が明けてから、周辺道路はいたる箇所で陥没しているほか、従業員が通勤のために利用する近くの橋は段差が生じて車両が通れないなどといった被害状況が次々と明らかになった。
「従業員やその家族も被災しており、事業再開は困難を極めました。だが、そのような状況の中でも、操業を再開できる組合企業から救援物資の輸送に着手することで、復興に向けてできる限りの取り組みをしました」