事業継続力強化計画は一度作成しておしまいではなく実際に活用していくことが必要です。今回はカードゲームを活用した事業継続力強化計画の訓練についてご紹介します。
なぜ、訓練が必要?
事業継続力強化計画(ジギョケイ)では、計画の実効性を確保する取組として、「従業員向けの定期的な訓練及び教育の実施、自らの経営環境の変化に応じた計画の見直し等」を行うことが求められています。また、ジギョケイの策定指針には、発災時の対応手順等は、「一部の従業員のみならず、社内で広く共有することが重要である。」と書かれています。
不幸にも被災してしまった時に、事業への影響を最小限に抑え、事業の早期復旧をはかるためには、いざという時に社員ひとりひとりが能動的に動けるように、日ごろから社員への周知と教育・訓練が欠かせませんし、企業の実態にあった計画になるように、定期的な見直しが必要です。
しかしながら、「実際にどう訓練してよいのかわからない」「どこを見直せば良いのかわからない」と悩む防災担当の方も多く、その声を受けて、中小機構が開発したのが、カードゲームを使った訓練教材です。
カードゲームを使った訓練とは?
2024年の能登半島地震は元日の午後4時すぎに発生し、北海道胆振東部地震は2018年9月6日の午前3時すぎに発生するなど、災害は営業時間外に発生することも多くあります。また、地震は発生直後に迅速に行動することが求められ、大雨の場合には予報や警報の段階で判断を求められるという違いはありますが、いずれにせよ、発生した災害の状況に応じて、社員一人一人が的確な判断を下していく必要があります。
実際の生じる被害も電気・ガス・水道、情報通信の断絶がどの程度に及ぶかは正確な予想は困難ですし、自社に直接の被害がなくても公共交通機関の停止、通行止めなどで納品や出荷が途絶えることもありますし、ご家庭の事情で社員が出勤できなくなることもあり得ます。
そこで、発災直後やある程度時間が経過して状況把握はできた段階での自社への影響について、できるだけリアルに状況を経験し、対策について検討することで、社員の防災・減災に対する意識を高めるとともに、ジギョケイをより自社の実態に合った計画に見直すための訓練を行えるのがカードゲームを使ったディスカッション型の訓練です。
カードゲームの使い方
中小機構では、令和6年度、全国10カ所でジギョケイの認定を受けた事業者を対象にして、このカードゲームを使ったワークショップを開催しました。その時に使用したカードゲームの印刷原稿や、ワークショップで使用する教材一式を、中小企業強靱化ポータルの専用ページに掲載しています。カードゲームは、主に水害・地震を題材にしており、発災直後の状況が書かれた「初動カード」、発災翌日の状況が書かれた「災害カード」、災害カードと一緒に引く「インフラカード」、そしてディスカッションの役割を決めるために「役割カード」から構成されています。詳細は専用ページをご覧ください。
なお、事業の効果測定のため、ファイルのダウンロードや動画の視聴にはお申込みフォームに必要事項を入力して申し込んでいただく必要がありますので、ご了承ください。
次のコラムでは、実際に使用された企業に取材させていただきましたので、その様子をお伝えします。