風水害の事例と対策の必要性

2021.02.12風水害

1. 激甚化・頻発化する風水害

近年梅雨時期になると、西日本や九州を中心に大雨による甚大な洪水、土砂災害等が発生しています。気候変動や日本の地理的条件に起因しているといわれていますが、今年もすでに熊本県や岐阜県等で甚大な被害が発生しており、私たちは今まで以上に水害のリスクにさらされているということは間違いなさそうです。
さらに秋にかけては日本列島を台風が通過するリスクが高くなります。最近は勢力を維持したまま襲来する台風が増加傾向にあり、各地で豪雨災害、強風災害が発生しています。
国土交通省の調べでは、下の図に示すように1976年からの10年に比較して、2010年からの10年は、短時間強雨の発生頻度が約1.4倍に増加しています。また、今世紀末までに洪水発生頻度は約2倍に増加すると予測されています。
気候変動等の影響により大雨の発生頻度が高まっているのとともに、河川が流れ込む山裾から平野部に生活域が集中している日本の国土利用の事情により、洪水や土砂災害発生時に大きな被害が発生しやすい状況にあります。

1時間降水量50mm以上の年間発生回数(アメダス1,000地点あたり)

2. 梅雨時期に多い豪雨災害

梅雨時期は日本列島に梅雨前線が停滞し、雨を降らせますが、この前線に向かってより暖かい空気が流れ込むことで大雨や長雨が発生します。さまざまな要因が重なると、ある場所で線状降水帯が発生し、同じ場所で長時間降雨が継続することがあります。雨水はダム等に貯水されますが,許容量を超えそうになると緊急放流(ダムの崩壊を防ぐために、やむなくダムの水を下流域に放出する)をせざるを得ず、下流域で洪水やはん濫が発生しやすくなります。下の図のように日本は地形が急峻なため、河川の水は上流から下流に短時間で流れるので、他国に比べても洪水,はん濫や土砂災害が起きやすいといわれています。
 つい最近も熊本県の球磨川流域(写真)や岐阜県の飛騨川流域で大規模なはん濫や土砂災害が発生しましたが、非常に短時間に大量の降雨がありました。現在の技術では事前の予測が困難なため、避難が遅れて多くの命も奪われました。

3. 各地に甚大な被害をもたらす台風の増加

2018年、2019年は強い勢力を維持したまま上陸した台風の影響で、各地で甚大な被害が発生しました。2018年9月上旬西日本を通過して強風、大雨、高潮等により各地に甚大な被害を及ぼした「平成30年台風21号」、2019年9月関東地方を通過して房総半島で強風による屋根の飛散、樹木や電柱の転倒による停電などの主に風による被害を及ぼした「令和元年房総半島台風(令和元年台風15号)」、そして2019年10月関東地方を通過して各地に大雨、洪水、土砂災害を引き起こした「令和元年東日本台風(令和元年台風19号)」は、記憶に新しいと思います。
 近年気候変動により台風が大型化するといわれており、今後も強い勢力の台風が接近、上陸することにより大きな被害が発生する可能性が高そうです。

4. 自社の風水害リスクを知り、対策をすることの重要性

「小規模企業白書 2019」によると、自社の地域のハザードマップを見たことがある事業者の割合は4割に満たない状況です(下図)。梅雨前線や台風は場所を選ばず襲来します。事業者の皆様には、地域のハザードマップをご確認いただき,自社の風水害リスクを知り、従業員や家族の命、会社の財産を守るためにぜひ対策を検討していただきたいと思います。

【プロフィール】

猿川 明 独立行政法人中小企業基盤整備機構チーフアドバイザー
中小企業診断士 気象予報士 防災士

一般社団法人板橋中小企業診断士協会で、板橋区簡易型BCP策定支援事務局リーダーとして従事。8年目を迎える事業を統括するとともに、区内外にて、BCPや事業継続力強化計画策定支援など、中小企業の皆様が事業を継続する力を獲得できるようご支援中。

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