BCP策定を基礎に真に効力ある連携を
東部金属熱処理工業組合

組合員81社 賛助会員48社(2021年1月25日現在)
製造業
BCPと連携による事業継続力の強化
連携型

東部金属熱処理工業組合

理事長 嶋崎利行
製造業
東京都港区三田 2-14-4三田慶応ビジデンス604
昭和47年9月1日設立

加工成形された鉄鋼部品に、実用に耐える硬さと強度を与える熱処理。中小企業が多い熱処理会社では技術・技能の伝承も重要な課題となっており、東部金属熱処理工業組合は「ものづくりは人づくりから」を合言葉に81社が参画し、各企業のサポートと人材教育を行っている。BCPにも積極的に取り組んでおり、まずは10社が連携事業継続力強化計画を策定して、いっそう事業継続力の強靱化を図っていこうとしている。連携計画への参加者は、今後、随時増やしていく予定。重要保安部品を数多く作り出し、日本のものづくりを支える熱処理工場が、災害時にサプライヤーとしての供給責任を果たすため、日頃から情報を共有し、備えを進めている。

重点対策

BCPを基礎とした連携事業継続力強化計画

主な対策や変化

  • BCPワーキンググループを結成した。
  • BCPワーキンググループへの自発的な参加が、各社BCP策定へとつながり、ひいては連携型事業継続力強化計画へと実を結んだ。

防災や減災効果・経済効果

  • 3~4年前から業界としてBCPを普及したいと取り組んできたことが素地となり、ごく短期間でワーキンググループ各社のBCP策定が実現した。
  • 各社がBCPを策定したため、スムーズに「連携事業継続力強化計画」の策定へとつながり、企業間、地域といった「連携」が強化された。

重点対策

広範囲にわたる組合企業のエリア分け

主な対策や変化

  • 災害が起きたとき近隣エリアにサポートできる組合企業が存在すれば情報収集や状況判断が迅速にできる。
  • 被災企業に合わせた支援を推進している。

防災や減災効果・経済効果

  • 被災が予想される道路や河川などをハザードマップで各組合企業の危険度を把握し、効果的なエリア分けをすることによって、同時被災することなく、しかも近隣の連携企業から支援を受けることができるようになった。

重点対策

全組合員企業へのBCPの啓蒙・普及

主な対策や変化

  • 平時から、2~3か月毎にBCP推進ワーキンググループの活動により事業継続力の底上げを図っている。
  • 実際の台風被害で、計画の有効性を確認した。

防災や減災効果・経済効果

  • 日頃から災害に備えることで、日常トラブルにも対応力をつけ、被災時には壊滅的な高額の損害を避けることができるようになった。
    品質向上にもつながり顧客からの信頼も増す結果へとつながった。
  • 実際に台風で浸水被害に遭った会社があり、はからずも計画の重要性が明らかになった。

BCPを基礎とした連携事業継続力強化計画

BCPワーキンググループの結成

業界の継続的な繁栄と製造業の基盤を守るため、組合の品質委員会から、BCP推進ワーキンググループの構想が生まれた。組合各社にアンケートを実施し、BCP推進ワーキンググループへの参加やBCPに関心のある企業を募り、参加したいと自発的に手を上げた10社によりグループを結成した。

まずは、各社のBCPを策定する

BCP推進ワーキンググループ各社で、まず自社BCPを作成し、自社の状況を把握し、BCPがどういったものであるかの把握につとめた。各社のBCP作成にあたっては、組合共通の基本フォーマットを配布し、熱処理業界に適した計画を策定した。各社の意識は高く、手間がかかるとされるBCPを、各社ともに、わずか3~4か月で策定することができた。

BCP推進ワーキンググループの会合の様子の写真
BCP推進ワーキンググループの会合

連携型事業継続力強化計画へと発展

各社でのBCPが完成した後、続いて連携事業継続力強化計画の策定へとつなげた。自社で十分にBCPを理解した上で、はじめて企業間や地域間の「連携」が成り立つと考えていた。連携型計画の策定により、各社BCPだけでは弱かった「連携」が強化され、いざという時に助け合うスキームが構築された。

広範囲にわたる組合企業のエリア分け

同時被災を免れる地域分類

北海道から北信越まで、東日本の幅広い地域に点在している組合81社を24のエリアに分類し、地域毎に連携を組むことを考えた。被災時に寸断される道路や氾濫が予想される河川など、地図やハザードマップを読みつつ検討を重ねている。

速やかな支援体制

被災時には同業組合の連携であることを生かし、設備の貸し出し、代替生産や技術者の派遣を行う。復旧に向けて最初に必要なのは、例えば、がれきの処理といったものであるため、エリア分けした連携なら近くの企業から速やかな支援を受けられる。

生産の様子の写真
いざという時には、組合内で代替生産や
技術者の派遣などを行う

被災企業に配慮

支援やサポートを行う際は、被災企業に合わせた支援を行うように心がけることも大切と考え、押しつける形の支援ではなく、心に寄り添った支援のあり方を考えるのも、組合の連携のあり方の特色である。被災した企業には、そこで働く人とその家族や地域の人たちがいる。被災時には、戸惑いと不安と悲しみがあることに配慮しながら、組合のBCPと連携事業継続力強化計画を進めていくようにしている。

全組合員企業へのBCPの啓蒙・普及

平時からの、事業継続力の底上げ

日常トラブルや自然災害に備え、日頃から部品や備品のプール、設備のメンテナンスを行うことは、一見経費が掛かるようだが、備えなしに被災した場合の巨額の損失と比べれば、かえって経済効果が高いことになる。品質向上にもつながり顧客からの信頼も増す。また、そうして事業継続力が強化されることは、従業員の雇用を守ることにもつながり、各社内のモチベーションが向上する結果にもつながる。

台風被害で計画の有効性を確認

令和元年に首都圏と長野県を台風19号が襲った際、組合企業で2社が浸水により被災した。機械設備が水没し使えなくなったが、被災したうち1社が近隣の連携企業に代替生産を依頼することができた。また、罹災証明書の申請手続きについて情報を迅速に提供してもらうなど、はからずも本計画の有効性が確認された。

部品、備品の写真
日頃から部品をプールするなど備える

組合員への
周知方法

BCP推進ワーキンググループでは、組合全企業が集まる総会開催時や各社従業員による品質発表会など、経営層レベルに限定せず組合内の従業員層にも折に触れBCPの重要性を訴えている。
総務委員会により昨年、組合ホームページをリニューアルしセキュリティ対策をし、BCP推進ワーキンググループのページを開設した。今後の活動報告やBCPの情報を会員企業に配信していく。
今年はコロナ禍でなかなか人の集まるイベントが開催できなかったが、BCPを導入した会社の体験発表や、コロナ対応マニュアルを作成した会社の事例発表など、今後はオンライン化なども含め具体的な情報共有を図っていきたい。

組合員との連携

被災により設備が壊れた際に、代替生産を頼んだり設備の貸し出しを受けることができる。技術者の派遣を要請できるのも同業者組合の大きな強みである。これは、組合等を通じた水平的な連携に分類される。
災害からの復旧に早急に必要とされるのは、案外、がれきの片づけといったところからであり、人手が求められる。エリア毎の連携が、迅速な支援を可能にしている。

苦労した点・
工夫した点

同業といっても、設備の規模や技術力には各社によって違いがある。また、納品先企業との関係や企業秘密など、一口に代替生産ができると言えないこともある。東日本の広範囲にわたる組合であることから、地域毎の文化や考え方などの違いもある。それでも、皆、BCPの重要性は非常に理解している。今後問題が起これば、その都度検討していくつもりであり、乗り越えていけるものと思っている。

今後の展望

BCP推進ワーキンググループに参加した10社によって、連携事業継続力強化計画ができたところで新型コロナウィルスの感染拡大が起こり、視察や勉強会などが活発にできなくなってしまった。いずれコロナ禍が収まってくれば、第2期、第3期と連携先の参加企業を増やしていきたい。その際は、当初から連携先として参加した10社は、先駆者として後進指導に当たることを考えている。
東部金属熱処理工業組合の上部団体である「日本金属熱処理工業会」には、中部・西部の団体もあり、将来的には全国レベルで業界全体の連携を構築することも検討しており、実際に、一部の企業で、中部金属熱処理協同組合の組合企業と連携する動きが始まっている。
また、BCP推進ワーキンググループに参加している組合企業の中には単独型と垂直連携型の認定を取得している企業もあり、将来的には業界の垣根を越え異業種の企業や他団体との連携も視野に入れている。

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