大型生産設備の耐震補強や設備の計画的な更新
過度な在庫を持たないことがよしとされる自動車産業のなかで、代替手段の少ない基幹アイテムを作る施設が老朽化で壊れると、自動車メーカーの製造ラインをストップさせ、ひいてはエンドユーザーに多大な迷惑をかけてしまう。そのために10年スパンで設備の更新計画を立て保守メンテナンスをしっかり実行し、老朽化による設備のトラブルが起きないようにした。あわせて古い建物の耐震補強も随時行っている。
前向きな人事異動による、従業員の多能工化
これまでは従業員の人事異動が少なかったが、近年はそれぞれのキャリアプランに基づき、明確なスキルマップを作り、社内事情に応じて前向きな配置転換・人事異動を行うようになっている。いざという時のために、平時より従業員の多能工化(マルチスキル化)を進めている。この対応は、増産が必要な場合にも役立っている。
事業継続力強化計画でBCPを「見える化」
以前から策定していたBCPを見える形にしたいと思っていたところに、事業継続力強化計画の認定制度を知った。計画が認定され、認定マークを取得。防災に積極的に取り組む姿勢をアピールしていきたい。
教育の実施
安全衛生年度計画の策定
安全衛生年度計画に合わせ、年1回の定例BCP委員会と年2回以上のBCP教育や訓練を実施している。委員会では係長以上が参加し、1年間行ってきたことを振り返り、BCPを確認している。
擬似体験教育プログラムや、災害アプリの活用
外部の専門サービスに依頼し、災害時擬似体験プログラムを実施。現場担当者が災害時に瞬時に対応を判断できるようになる訓練を、年に1度行っている。また、平時の連絡手段に、あえて災害対策用アプリ(オクレンジャー)を活用し、事前対策の周知と訓練を普段から行うことができるようにしている。
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従業員への周知方法
BCPをA3一枚のシートにまとめたものを全従業員に配布、社内にも掲示して注意を喚起している。さらにスマホで使える災害時連絡用のアプリ「オクレンジャー」を利用して、災害時の安否確認などの連絡訓練も行っている。災害時しか利用しないと必要な時に機能しなくなる恐れがあるので、平時にも朝礼に使ったり、福利厚生のアナウンスや啓蒙活動に活用したりして、アプリの利用頻度を上げるようにしている。
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苦労した点・工夫した点
もともとBCPを策定していたため、事業継続力強化計画の策定にあたっては、大きな苦労はなかった。ただし、地域的に天災が少なく、災害に対する意識が薄くなりがちなので、日々の活動の中で、防災の優先順位を下げないようにしている。
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今後の展望
事業継続力強化計画を策定して災害に備えることは、対ステークホルダー的にも、当たり前の世の中になってきているように思う。ISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)の国際認証も取得・維持しているが、さまざまな認証・認定に取り組むことで相乗効果を上げながら、会社の体質強化につとめていきたい。また、下請企業と一緒に連携型計画を立てることも、今後、視野に入れていきたい。