中小機構が開催した事業継続力強化計画セミナーに参加した大塚恭史氏は、まず工場がある場所のハザードマップを確認した。すると、メインの関ヶ原工場は西側の3分の2が、第2関ヶ原工場は敷地のほぼすべてが土砂災害警戒区域等に指定されていることが判明。自社が災害と隣り合わせの状況にあることをこの時改めて思い知らされた。大塚恭史氏は、
「工場の敷地を選んだ当時、地盤が硬くて地震に強いという基準で決めていましたが、まさか土砂災害や水害が起きる可能性があるとは想像もしていませんでした。ハザードマップを使って実際自社に起こりうる災害を想定した場合、それにどう対応すればいいのか。今回のセミナーで大きな気付きを得ました」(大塚恭史氏)
このセミナーがきっかけとなり、中小機構 中小企業アドバイザーの仲保吉正氏が、オーツカの事業継続力強化計画の策定の支援することになった。仲保氏は、
「大塚社長の事業継続に対する想いは人一倍でした。大塚社長は『しっかりとした事業継続力強化計画を策定したい』ということでしたので、私から3つの提案をさせていただきました」(仲保氏)
仲保氏が提案したのは、①オーツカ単独の事業継続力強化計画の策定、②グループ関連会社との連携型の事業継続力強化計画の策定、③同業者との連携型の事業継続力強化計画の策定であった。
それを受けて大塚恭史氏は、オーツカ単独の計画策定と、グループ各社(原材料供給、設備の販売・メンテナンス、素材開発、製品の管理・配送など計5社)との連携型の事業継続力強化計画を策定し、グループ内におけるサプライチェーンの強靱化に務めた。
だが、問題は③だった。同業者との連携型の事業継続力強化計画はオーツカに限らず、どの業種においてもハードルが高い。そこには顧客や技術流出の懸念、品質維持管理、緊急時の体制などといった問題があり、オーツカも同じ悩みを抱えていた。それから検討を重ねた結果、大塚恭史氏は大阪府にある同業者に注目した。