製造業や卸売業を中心に、多くの中小企業が軒を連ねている東大阪市。この地域は近隣の同業者同士が連携することで、横請け・仲間請けと呼ばれる独自のネットワークを形成し、お互いに技術力や生産力、業務効率を高め合うことで発展し続ける、この地域独自のスタイルが今なお根付いている。
その東大阪市に、協同組合 大阪紙文具流通センターがある。紙業界、文具業界の事業者がひとつの拠点に集まる形で、1971年4月に団地が開設されました。
現在は、文具業者20社と紙業者22社の計42社。さらに賛助会員16社を含めた計58社の組合員(企業)からなっており、約1300人の従業員が勤務している。
1995年の阪神淡路大震災以降、関西地域は幸いにも大規模な災害に見舞われることがなかったこともあり、組合員各社は防災・減災対策にそれほど力を入れてこなかった。とはいえ、近年BCP(事業継続計画)の必要性が中小企業にも叫ばれるようになり、事務局としても何らかの対応を検討していた。そうしているうちに、突然天災が起こった。
当時の状況を、協同組合 大阪紙文具流通センターの事務局である専務理事の名和秀記氏に話を聞いた。
「やはり衝撃的だったのは、3年前の2018年に関西を襲った台風21号でした。その2か月前には大阪北部地震で震度6程度の大きな揺れがあり、そういった災害が相次いだこともあって、これはいつ何が起こるか分からないという危機感を覚えました」(名和氏)
台風21号の接近時、強風によって看板が飛ばされた被害が出たが、地震を含めて幸いにも人的被害はなく、その後の事業にもほぼ影響はなかった。この経験を機に、今後の災害に備えて何らかの策を講じる必要性を考えたという。
「ハザードマップを確認すると、この辺りは周囲の河川が氾濫、あるいは堤防が決壊したら、浸水の可能性があることが分かりました。それに地盤が弱く、揺れが大きい地域であることも把握できました。そうした災害の可能性がありBCPには関心を寄せていたのですが、BCPを一から作るスキルがなければ、そこに時間をかけるマンパワーもありません。そんな時、偶然にも事業継続力強化計画(ジギョケイ)の認定制度が開始されたことを知り、これなら私たちだけで作成できるのではないかと思ったことがきっかけです」(名和氏)