2019年8月、長崎県・佐賀県・福岡県を含む広い範囲に渡って線状降水帯が発生し、各地で観測史上一位となる驚異的な豪雨(令和元年8月の前線に伴う大雨)を記録した。さらに翌年の2020年7月(令和2年7月豪雨)、そして記憶に新しい出来事では2021年8月(令和3年8月の大雨)も記録的な大雨となり、政府は特定災害対策本部を設置した。
この大雨によって、佐賀県内は床上浸水が1700棟、床下浸水まで含めると計3500棟以上の住居に被害が及び、多くの住民の生活に支障が出た。
よく、滅多に起こりそうにない物事のことを100年に一度の出来事といった表現をするが、観測史上記録的な降水量となる“100年に一度”の豪雨が、2019年と2020年に2年連続で起こった。佐賀県はもともと水害に悩まされている地域であるが、こうした異常気象が近年喫緊の課題になっている。
その地で半世紀近くにわたり事業を営む、一般廃棄物やし尿の収集・運搬・処理を行う業者4社が集まった組合が、天山地区環境整備事業協同組合である。天山地区環境整備事業協同組合 専務理事 山本康徳氏に話を聞くと、
「小城市を含むこの地域一帯は以前から浸水することが多々あり、ある程度の災害は想定していますが、ここ数年は特に大規模な集中豪雨に見舞われています。私たちは行政の許可をいただいて業務を行う事業者(の組合)ですので、災害時に何かあればすぐに駆けつけ、対応することが求められています。それもあって、日々の防災対策は特に意識しています」(山本氏)
多くの雨水が短時間のうちに下水道に入り込むと処理能力を超えてしまい、設置したタンクがいっぱいになると各家庭でトイレが使えない状況になる。また、一部地域は汲み取り式のトイレを設置している住居があり、洪水により水に浸かると、衛生的な問題が発生する。こうしたことで、4業者は協力関係のもと、緊急時にすぐに出動する体制を整え、早期の災害復旧に務めている。