事業継続力強化計画の策定のメリットについて、野﨑氏は次のように語る。
「まずは何よりもサービスを休止・停止しなくてもいいということですね。それから、やはり社員の安全やお客様の安全を第一に考えることによって、社員のロイヤリティも高まるであろうと思っています。社員たちにも災害を意識するということが根付いてきていて、熊本の大地震の時には私を含め約100名の社員が土・日曜日に災害廃棄物の片付けに行きました。こうした活動も、自ずとそういう風土を醸成しているからだろうと考えています」(野﨑氏)
共栄資源管理センター小郡は消防団に4人所属し、最近では県大会に出場し優勝した社員もいると言う。また、昨年大雨で冠水した地域にも社員が自主的に出かけ、住宅の泥かきを行うなど、社員たちの災害に対する意識の高さが伺える。
実際、共栄資源管理センター小郡では定期的に事業継続力強化計画を見直し、改定したものを毎年小郡市役所に提出している。こうした取り組みを続けることで、安心感や事業者としての強靱な体質を持っているという評価につながっているのでは、と語る野崎氏は災害と向き合うことで臆病になってきたことも明かす。
「私のある面での自慢は、この事業を40年間やっていて1日たりとも休止しないことでした。休止しないように事業継続力強化計画も運用していたのですが、2022年9月に起こった台風14号は、1991年(平成3年)の巨大台風と同じくらいの勢力だったため、休止させてほしいと市当局に申し出て、すぐに合意していただきました。その結果、当社にしても九州地区にしても大きな被害はなく、休止の判断をしてよかったと思いました。本件に関する苦情などもおかげさまで1件もなかったと聞いています」(野﨑氏)
2020年から続く新型コロナ感染症については、福岡県内でもクラスターが発生して事業所が閉鎖になったところがあるが、共栄資源管理センター小郡は被災を免れている。
事業継続力強化計画を全く知らない方に説明する際に、どんな言葉で説明するか尋ねるとこんな答えが返ってきた。
「経営者の方にお伝えしたいのは、やはり社員の安全やお客様の安全、会社の資産を守るということは経営者の責任みたいなものですので、やはり事業継続ということが最も社会的責任としては大きいと思っています。企業は社会の公器。だからそのために社員を守り、社員を育成すると同時に、ハードの面も含めた企業資産というものを守って、力強いものに成長させていかなければなりませんし、それが今度は次世代を担う経営者の糧になるのではないのかなと思っています」(野﨑氏)