株式会社シオノ鋳工では、現在製造している鋳造の製品を、さらに機械加工という切削加工をして付加価値をつけワンストップでお客様の元に届けるという新事業に向けて、新工場の建設が進められている。事業継続力強化計画を策定したことで、次の展望が見えてきたと吉野氏は語る。
「事業継続力強化計画を策定したことで、リスクに対する備えがしっかりと見える化でき、それによって不安が解消されたように思います。現状をしっかり把握して不安がなくなると、次の展望として、いろんなことにチャレンジしていこうという意欲が湧いてくる。将来に大きなチャレンジをする上において、計画の策定がひとつの支えになっていると感じています」(吉野氏)
なお、同社では毎年年始めに避難訓練や防災訓練が行われているが、賛同してくれる企業があれば、ぜひ一緒に取り組んでみたいと地元企業との合同訓練にも興味を示す。
「他の企業と合同でやることでお互い刺激にもなるし、こうした活動が広がるという意味でもいいと思います。私はこの地域が大好きですし、会社もこの地域に生かされていると思っているので、地域全体で取り組めるようになることはとても素晴らしいことだと思います」(吉野氏)
1830年(天保元年)に創業。200年近く事業を継承する秘訣はどこにあるのか、改めて事業をする上で大事なことを吉野氏に聞いてみた。
「事業を継続させるために大事なことは、自然災害のリスクや機械設備工場の設備に対する管理をしっかりしていくことも大事なのですが、やはり一番は人の問題。人を大事にするということが重要だと考えています。と言うのも今、この京都の北部の地域では人手不足が深刻でして、やはり都会よりも田舎のほうはより深刻です。そのため、今は人をしっかり循環させて継続していくというところに難しさを感じています」(吉野氏)
そう話す吉野氏だが、現在、株式会社シオノ鋳工の平均年齢はおよそ37歳。若手からベテランまでバランスがいい人員配置になっている。しかも、将来跡取りとなる社長のご子息は4人とも男の子。人をしっかり循環させて事業を継承していくという点においてはしばらく安泰と言えそうだ。