ジギョケイ策定により社員たちの防災に対する意識の共有と、それを行動に移すための設備や体制を強化した今、同社の取り組みを通じて、人々が夢や希望を持てる会社にしていきたいと、内浪氏は地域貢献や社会貢献への想いや、実際の取り組みについて語る。
「例えば、災害時の避難場所として弊社の倉庫を施設利用していただいたり、弊社の車両を活用していただいたり、また、軽油で動く自家発電機を導入しているので、停電の際には地域の皆さんで使っていただけるように、倉庫を開放しています」(内浪氏)
国土交通省が推奨する「物流総合効率化法」の認定を受けた同社の倉庫において、実際、香川県の三豊市と防災協定を結び、こうした取り組みを実践している。
「これは2022年の2月に三豊市三野町に倉庫を新設したことがきっかけでした。大きな施設ができたことで、近隣の方たちに不安を与えるのではなく、地域の方たちが寄り添える施設にするという思いを、三豊市さんと連携を図ることによって明確化することができました」(内浪氏)
運送業(物流業)、建設業、倉庫業の主軸の事業に加え、リサイクル材を利用し空間をプロデュースする事業や、アパレル事業、ロボット技術を活用した事業など、実に幅広い事業に取り組む同社だが、そこにもリスク分散の意味が込められていると言う。
「2020年にコロナ禍になり、経済の影響を多大に受けるようになりました。さらに今後起こり得る災害のリスクを考えたときに、本当に1つの事業だけでは立ち行かなくなると思い、さまざまなリスクに備えるために、事業のポートフォリオでは裾野を広げるということを意識して、幅広い多様性のある事業の拡大を図っています」(内浪氏)
こうした社長の取り組みについて、代表取締役会長の内浪博文氏はこう語る。
「災害事情として、これまで南海トラフ地震についても香川県という地域柄それほどの危機感を持っていませんでした。ところが、今の社長はそういったところに目をつけて、それを実行していく様子を見て、やはり非常に大事なことだと感じました。2年前に私が社長を退き、現社長がこういった取り組みをしてくれているということは会社にとって非常にありがたいことだし、今後弊社のお客様方、またエンドユーザー様にご迷惑をおかけしないような事業になっていくのではないかと感じております」(内浪博文氏)
今後の展望として、香川県の三木町に本拠地を構える有限会社南商事運輸さんと企業の連携を図り、香川県内で東は南商事運輸さん、西はエフエーエスというかたちで、香川県の東西を結べるようにしたいと、会長からバトンを受け継いだ社長(内浪達也氏)の構想は尽きない。