BCP(事業継続計画)とは
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
緊急事態は突然発生します。有効な手を打つことができなければ、特に中小企業は、経営基盤が脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあります。また、事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況も考えられます。
緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないためには、平常時からBCPを周到に準備しておき、緊急時に事業の継続・早期復旧を図ることが重要となります。こうした企業は、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることとなり、株主にとって企業価値の維持・向上につながるのです。
※ 中小企業BCP策定運用指針より
BCP(事業継続計画)策定における注意点
策定したBCP(事業継続計画)を実際の場面で機能させるためには、以下の事項に配慮することが肝要です。
- 策定内容に不備がないこと
- 実行可能な戦略、目標が設定されていること
- 環境や状況の変化に合わせた更新が行われていること
- 策定内容が従業員に周知されていること
これらが満たされていなかったことで、緊急事態発生時にBCPが機能しなかった例が多く見受けられています。
BCPの簡易版「事業継続力強化計画」とは
BCPは、上記のような注意点があるものの、モデルとなる策定・作成方法や計画書のフォーマットが存在しないため、策定・作成の負担が大きいというデメリットがあります。
また、現在BCPには国がその内容を承認するような認定制度が存在せず、策定・作成によって享受できる国からの支援等はありません。
そんな中、令和元年7月16日より中小企業強靭化計画が施行され「事業継続力強化計画」の認定制度が開始されました。
事業継続力強化計画は「簡易版BCP」とも呼ばれ、BCPに含まれる、緊急事態発生時に即座に対応すべき実効性のある事項で構成されており、
- 作成方法や計画書の記入項目がフォーマット化されている
- 国からの認定を受けることで、補助金の優先採択などのメリットを享受できる
といった、BCPにはない利点を持っています。
事業継続力強化計画は、2日間で作成・策定し、認定を受けることが可能です。
まずは、申請に必要な書類や、認定により受けられる税制優遇などを確認してみましょう。
https://kyoujinnka.smrj.go.jp/guidance/
事業継続力強化計画があれば、BCPは対応不要?
事業継続力強化計画を策定すれば、BCPは対応不要かというと、そうではありません。
事業継続力強化計画では、BCPに含まれている基本的かつ重要な項目によって構成されており、緊急事態発生時に即座に対応すべき実効性のある事項に特化しています。
一方でBCPは、「中核事業(重要業務)の特定」「復旧する目標時間の設定」が特に重視されており、より詳細かつ複雑な事項にも対応していることで、階層化された大規模な組織においてもマニュアル文書として活用できるという特徴があります。
そのため、これから初めて緊急事態への対策・対応を検討される方は、まず事業継続力強化計画を策定し、計画の改善や従業員への周知徹底を行い、次のステップとしてBCP対策を行うことを検討されてみてはいかがでしょうか。
事業継続力強化計画の策定・作成にご興味のある方は、こちらをご確認ください。
https://kyoujinnka.smrj.go.jp/