火災の経験を踏まえ災害に強い会社へ
株式会社近藤印刷

従業員数18名(計画申請時)
印刷・同関連業
危機管理意識の向上
連携型(申請中)
近藤印刷の外観写真
近藤印刷での製作物

株式会社近藤印刷

代表取締役 近藤起久子
印刷会社
愛知県名古屋市中川区石場町2-51
1954年10月創業

準工業地域として産業が栄えた名古屋市中川区の中川運河の近くに社屋・工場を構える。クリア素材を使ったオリジナル商品の開発や高品質の印刷を強みに、60年以上操業する印刷会社。2019年1月に思いがけず自社工場で火災。幸い、従業員やお客様に被害はなかったが、その時の混乱と反省を踏まえて、さまざまな災害への危機感から連携事業継続力強化計画を策定した。

重点対策

防災意識や危機管理意識の向上

主な対策や変化

  • 自社工場の火災により、従業員の防災意識が向上した。
  • 火災保険の重要性を再認識した。

防災や減災効果・経済効果

  • 消防署や近隣に協力してもらって火災訓練を行い、防災センターも活用するようになった。また、災害時に従業員が帰宅できるかなど、ハザードマップを確認したり食糧を備蓄したりするなどの具体的な行動につながった。
  • 火災保険の再点検、見直しを定期的に行うようになった。

重点対策

サーバ(情報)管理

主な対策や変化

  • 火災の際には運良くデータの消失は免れたが、データのバックアップの重要性を痛感した。

防災や減災効果・経済効果

サーバの設置位置や別の場所に設置したサーバでデータを保管し、定期的なバックアップを図るようになった。

重点対策

非常時の連携強化

主な対策や変化

  • まず単独型計画の認定をとり、連携型計画へと発展させた。
  • 火災事故をきっかけに、被災した時は自社だけでの事業継続はとても大変であることを思い知った。
  • 他社が困っている時は、今度は自分が助ける立場にもなりたいと考えるようになった。

防災や減災効果・経済効果

県外の同業2社と連携を進められたことで、被災した時にも納品を滞らせることなく事業が継続できるという安心感が増した。

防災意識や危機管理意識の向上

火災訓練を実施

消防署の協力のもと、火災訓練を毎年1月27日(火災のあった日)に行うようになり、近隣の協力を得ることにより地域の連携が深まることにもつながった。また、火災事故をまとめた冊子も作り常に忘れないように心がけている。

火災訓練の様子の写真
火災訓練を実施

災害に対する認識の変化

ハザードマップを見直すことにより、自社の想定される被害を再確認したり、災害時の従業員の帰宅方法を確認したりすることになり、とても良い機会になった。あわせて保険会社の安否確認システムも導入することにした。また従業員一同が同じ危機感をもって行動できるようになった。災害時には、臨機応変な対応力や判断力も求められる。新型コロナウイルス感染症拡大による非常時にも、冷静さを失わず、社内には「組織として乗り越えていこう」という意欲が現れている。これは、火災を乗り越えた経験があればこそだと思う。

保険の重要性の再認識

書類の不備により火災保険が使えずに大変苦労したので、保険については経営者として他人任せにはせずに自分で必ず確認する必要があることを痛感している。火災のあった日(1月27日)は、毎年、保険の内容を見直すようになった。

サーバ(情報)管理

データの重要性の再認識

今回の火災ではお客様のデータを預かっているサーバが奇跡的に被災しなかったので業務を止めずにすんだが、データを喪失した場合の業務への影響を改めて考えることになった。

サーバの設置場所の再検討

会社内のサーバ設置位置を再検討し、どこに設置すると最悪のケースに備えることができるのかを検討した。また会社から離れた別の場所に設置したサーバでもデータを保管し、定期的にバックアップを取っている。IT部長は週に一度、本社のサーバにバックアップデータが取られているかをチェックしている。

サーバールームの外観写真
現在のサーバルーム

非常時の連携強化

単独型計画から連携型計画へ

当初から、連携型計画を策定することを見すえていたが、まずは単独型計画で、自社の状況を把握し、地固めをしてから連携型計画へと進んでいった。手順を踏んだことで計画がより確実なものとなった。

被災時の協力体制の大切さ

火災に遭ってから1週間の間はライバルである同業者にいろいろと助けてもらい、自社だけでの事業継続は本当に難しいと考えた。今回の事業継続協力化計画の申請にあたり、それを踏まえ同じ名古屋だと同時に被災する可能性があるので他県での連携先を探すことにした。
それ以外に、近隣で腹を割って話せる親戚のような同業者を作っておくと心強いと思う。火災の時は、営業部長の弟が勤めている名古屋市内の印刷会社が、事務所スペースに困っていないかと声をかけてくれたり、印刷物を優先して刷ってくれたり、本当に助けてもらった。

印刷業務を行う社員の写真
高度な印刷技術を得意とする近藤印刷

被災時でも品質を下げない

印刷用のプロファイルや抜き型など、被災時にも同じクオリティのものが作れるように、連携先企業と平時より情報のすり合わせを行っておくとよいと気づいた。

従業員への
周知方法

今いる従業員は自社工場の火災を経験しているので、会社と従業員との温度差があまりないのが幸いしているが、年に一度の避難訓練や、被災の状況をまとめた冊子を作り火災を常に忘れないようにしている。非常時には、声を大きくはっきり話す、報告をきちんと行う、できないことに対しても工夫してやってみようと思うことが大事。火災をともに乗り越えた従業員たちとは、こういったことを共有してきたので、これからも感染症や他の災害があってもきっと乗り越えられるだろうと思っている。

他社との連携

その他の連携の態様(同業3社による相互連携)。
近隣にも同業者はあるが、支援アドバイザーから、同時に被災すると連携の意味がなくなってしまうので、隣県である岐阜県の会社との連携を勧められた。その助言を受けて、岐阜県のフィルム印刷会社と紙の印刷会社とそれぞれ相互補完の連携をするように考えた。

苦労した点・
工夫した点

会社によって規模や機械もそれぞれで自社と同じレベルの設備を持つ会社を見つけるのが大変だった。同じ印刷会社といっても、各社の持ち味や得意分野が異なるため、日頃から印刷機械の色味の出方など、細かい部分での確認や打ち合わせが必要。また、代替生産をしてもらった時の価格なども、あらかじめ取り決めておいたほうが良い。

今後の展望

火災に遭遇し、会社のために尽くしてくれた従業員たちとのコミュニケーションを大事にし、災害に遭ってしまった苦い経験を、決して風化させてはいけないと思っている。事業承継を考えることも事業継続力強化計画も、どちらも「事業を継続していく覚悟はあるのか?」と常に問われているように思う。工場の整理整頓やデータのクラウド化といった日常業務の改善から、今後の事業継承という大きなテーマまで見すえていきたい。そして、経営理念である、会社は「公器」であるということを、今後もさらに推し進めていきたいと考えている。

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