広島県全域や四国の広い地域で施工を行う、店舗の内装や装飾、看板などを制作・施工をする株式会社シンク・タンク。その濵田社長は広島広告美術協同組合の副理事長を務めている。平成26年と30年の2度にわたる西日本豪雨を経験、自社は被害に遭わなかったものの、明日は我が身と防災の必要性を感じていた。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃、中小企業診断士から連携事業継続力強化計画を紹介される。万一の被災に備えていろいろ考えておくことは必要であり、中小企業庁の「ものづくり補助金」申請の際の加点にもなるというため、計画策定に取り組むことにした。
インタビュー(5分42秒)
看板設置など現場での施工作業があるため、全ての業務がテレワークで行えるわけではないが、デザイン業務や事務業務などから導入を開始。あわせてクラウドサービスを利用し、出社せずともデータにアクセスできるようになった。デザイナーはデータ出力時だけ出社すればよく、結果的に新型コロナウイルスの感染拡大にも対応できることになってよかったと思う。
少人数の企業で本業以外の新しいことに取り組むのは、時間的・スタッフ的にもなかなか難しいので、いかに社外からサポートしてもらうかがキーとなる。今回は井上明雄氏(中小機構中国本部チーフアドバイザー)に連携事業継続力強化計画策定のアドバイスをもらった。岡山県の株式会社WORK SMILE LABOさんには、テレワークの機材や使い方を丁寧に指導してもらっている。
この取組が、NHK岡山・広島のニュース番組で紹介された。このことが会社のよいPRとなり、会社のブランディングにつながった。
日頃から良好な協力関係だった同業他社と共に連携事業継続力強化計画を策定することで、安心感を確実なものにすることができた。被災時の行動マニュアルや協定書などを作成し、お互いの協力体制を明文化することにより、着実な対応で災害からの早期復旧を目指している。
連携先企業との協力により、例えば災害に遭って一社の機械が動かないことがあれば、他方の会社が替わりにデータ出力するなど、代替生産が可能になった。被災時の業務の滞りにきちんと見通しをつけられるようになり、取引を止めずに続けられる安心感につながった。
広島の経済誌「広島経済レポート」のトップ記事として紹介された。これが大きな反響を呼んだ。地元の信用金庫からも声を掛けられ、対銀行への信頼度も増した。
少人数の会社なので、常にコミュニケーションを取っている。西日本豪雨で災害の怖さを従業員全員が認識しているので、連携事業継続力強化計画のことにも関心が高く、朝礼などで日常的に話題にしている。ハザードマップ等を確認して避難場所や避難経路を社内に掲示している。また、避難経路をふさがぬよう作業所内を常に整理整頓するよう心掛けている。来客の方からも「作業場がきれいですね」とほめられることも多く、従業員への浸透を実感している。
組合等を通じた水平的な連携(同業他社による相互連携)。 連携先は内装工事や広告看板業を営む同業者であり、どちらかが被災して事業継続に支障をきたす場合には、代替生産のほか復旧等に必要な人員の派遣を行うことなどを取り決めている。日頃取引もなく、被災した際に急に関係性を築くことは難しいため、平時からの取引や、受発注を通じた従業員同士の交流も大切にしている。
計画の申請にしても、テレワークの機材導入や使い方にしても、自分一人だけでは難しかったと思う。わからないことであれこれ悩むより、速やかに専門家に助言を求め、支援をしてもらうのも適切かつ必要な方法だと思う。
自社のテレワークは社内業務の打ち合わせなどから始め、いずれはお客様や外部との打ち合わせなど、使用の範囲を広げていきたい。今回は同業組合の理事、副理事の企業で提携。これをきっかけに支援アドバイザーにもご協力してもらいながら、組合内にも連携事業継続力強化計画の利点を広め、さらに大きな連携関係を作っていきたい。
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