地域の生活を水害から守る、2社連携の取組
株式会社弦巻
- 取締役社長
- 弦巻 岳
- 業種
- 卸売業(繊維・衣服等卸売業)
- 所在地
- 山形県酒田市卸町1番地の1
- 従業員数
- 17人
- 拠点
- 本社(山形県酒田市)
- ホームページ
- https://www.tsurumaki.co/
1920年に玩具店「弦巻商店」として創業。現在は山形県庄内地域を対象に、制服・作業服およびギフト商品の企画・販売を行っています。酒田市内で給食事業を展開する庄内給食センターと連携し、事業継続力強化計画を策定しました。
連携体:株式会社弦巻(代表事業者)、株式会社庄内給食センター
酒田市に本社を構える株式会社弦巻は、スクールユニフォーム(制服)、企業ユニフォーム、ギフトの三つを事業の柱とする卸売業者です。山形県庄内地域の学校や企業、冠婚葬祭事業者など、幅広い取引先に商品を提供し、地域の暮らしを支えています。
酒田市は、山形県庄内地域の中核都市として日本海に面し、最上川の河口部に位置しています。最上川およびその支流は、豪雨時に氾濫する恐れがあり、同市は水害リスクが比較的高い地域といえます。
こうした地域特性を踏まえ、同じく酒田市内に本社を置き、学校給食などを担う株式会社庄内給食センターと連携し、事業継続力強化計画を策定しました。両社はいずれも被災すると、学校や企業、葬祭といった地域生活に広範な支障を及ぼす可能性があるため、協力して水害への備えを進めています。
酒田市は、山形県庄内地域の中核都市として日本海に面し、最上川の河口部に位置しています。最上川およびその支流は、豪雨時に氾濫する恐れがあり、同市は水害リスクが比較的高い地域といえます。
こうした地域特性を踏まえ、同じく酒田市内に本社を置き、学校給食などを担う株式会社庄内給食センターと連携し、事業継続力強化計画を策定しました。両社はいずれも被災すると、学校や企業、葬祭といった地域生活に広範な支障を及ぼす可能性があるため、協力して水害への備えを進めています。
連携への関心が取り組みの出発点になる
同社は2021年12月に1回目の認定を取得し、2024年12月に2回目の認定を取得しています。
事業継続力強化計画の策定に取り組むきっかけは、中小機構東北本部のアドバイザーからの提案でした。BCPについてはそれまで考えたこともありませんでしたが、「連携して取り組む」という考え方に魅力を感じたといいます。
「BCPという言葉も知らなかったのですが、『連携』という言葉に興味を持ちました」(弦巻 取締役社長)
連携相手として検討したのは庄内給食センターでした。同センターは、弦巻社長の祖父が前身である協同組合時代に理事長を務めたこともある組織で、地域にレストランやコンビニエンスストアがなかった時代に、企業の昼食用弁当を共同で製造するため、地域の企業が出資して設立されています。設立当初には、弦巻社長の祖父がその立ち上げに尽力したという背景もあります。
学校や企業など、地域の生活を支える相手に事業を行っている点は共通している一方、卸売業と給食事業という異なる業種であることから、連携することでそれぞれの強みを生かした対応が可能になるのではないかと考えました。人手不足など今後の環境変化を見据え、企業同士が支え合う必要性を感じていたことも、連携を検討する背景にあったそうです。
こうして、関係の深い庄内給食センターとともに、連携型の事業継続力強化計画の策定に取り組むこととなりました。
事業継続力強化計画の策定に取り組むきっかけは、中小機構東北本部のアドバイザーからの提案でした。BCPについてはそれまで考えたこともありませんでしたが、「連携して取り組む」という考え方に魅力を感じたといいます。
「BCPという言葉も知らなかったのですが、『連携』という言葉に興味を持ちました」(弦巻 取締役社長)
連携相手として検討したのは庄内給食センターでした。同センターは、弦巻社長の祖父が前身である協同組合時代に理事長を務めたこともある組織で、地域にレストランやコンビニエンスストアがなかった時代に、企業の昼食用弁当を共同で製造するため、地域の企業が出資して設立されています。設立当初には、弦巻社長の祖父がその立ち上げに尽力したという背景もあります。
学校や企業など、地域の生活を支える相手に事業を行っている点は共通している一方、卸売業と給食事業という異なる業種であることから、連携することでそれぞれの強みを生かした対応が可能になるのではないかと考えました。人手不足など今後の環境変化を見据え、企業同士が支え合う必要性を感じていたことも、連携を検討する背景にあったそうです。
こうして、関係の深い庄内給食センターとともに、連携型の事業継続力強化計画の策定に取り組むこととなりました。
部門横断で議論しながら計画を作る
計画の策定は、アドバイザーの支援を受けながら進められました。弦巻では各部署のリーダーが参加し、庄内給食センターでも総務や営業などの担当者が加わり、複数のメンバーで検討を行いました。卸売業と給食事業では業務内容が大きく異なるため、災害時に取るべき行動も異なります。そのため、各部門の実態を踏まえながら議論を重ね、人命の安全確保を中心に連携のあり方を整理していきました。特に給食センターでは、複数の施設にスタッフが派遣されているため、誰がどこにいるかを把握することが重要となります。こうした特性も踏まえ、実務に即した計画づくりが進められました。
安否確認体制と備蓄の仕組みを整える
両社は道路を挟んで隣接していますが、いずれも最上川の近くに立地しており、酒田市のハザードマップによると、0.5m~3mの浸水が想定される地域に位置しています。このため、台風や大雨による最上川の氾濫を主なリスクとして想定しています。
連携内容としては、浸水が発生した際に、社屋・工場の被害状況や地域の状況等について相互に情報共有を行うとともに、状況に応じて施設や人員を融通し合うほか、災害対応や復旧作業において協力体制を構築することを定めています。
具体的な対策として、初動対応では、LINE WORKSを活用した一斉連絡体制を整備し、安否確認や情報共有を迅速に行える仕組みを構築しました。連絡が取れない場合には電話で確認するなど、段階的な対応方法も定めています。
備蓄については、非常食や水を弦巻の社屋2階に保管しています。一方、給食センターは平屋であることから、水害リスクを考慮し、備蓄品を別の場所に保管することも検討しています。平時の取組としては、年に1回、安否確認訓練を実施し、実際に機能する体制づくりを進めています。
連携内容としては、浸水が発生した際に、社屋・工場の被害状況や地域の状況等について相互に情報共有を行うとともに、状況に応じて施設や人員を融通し合うほか、災害対応や復旧作業において協力体制を構築することを定めています。
具体的な対策として、初動対応では、LINE WORKSを活用した一斉連絡体制を整備し、安否確認や情報共有を迅速に行える仕組みを構築しました。連絡が取れない場合には電話で確認するなど、段階的な対応方法も定めています。
備蓄については、非常食や水を弦巻の社屋2階に保管しています。一方、給食センターは平屋であることから、水害リスクを考慮し、備蓄品を別の場所に保管することも検討しています。平時の取組としては、年に1回、安否確認訓練を実施し、実際に機能する体制づくりを進めています。
豪雨の経験が計画の有効性を示す
計画の有効性を実感したのは、2024年7月に庄内地域で豪雨が発生した際でした。夜間に河川氾濫の可能性を知らせるアラートを受け、自らが会社に向かい、在庫を2階へ移動させる対応を行ったそうです。その後、翌日の業務については、臨時休業や自宅待機といった判断を行い、必要最小限の体制で対応しました。こうした一連の判断については、事前に計画を策定していたことが大きく役立ったといいます。
一方で、課題も明らかになりました。豪雨により給食センターの一部受託施設が被災し、復旧には長期間を要しました。食品を扱う施設であることから、床の張り替えや消毒など、慎重な対応が求められたためです。給食事業は、災害時においても継続が求められる重要な役割を担っています。
「給食は、学校があれば必ず作らなければならないという使命感があります」(弦巻氏)
そのため、停電時の対応として、自家発電機の導入なども今後の検討課題としています。
また、計画の社内周知についても課題を感じているといいます。計画については、弦巻では月次の定例会の場で説明し、給食センターではLINEで共有しましたが、社員の反応は薄く、実際に災害が発生しないと実感を持ちにくいと感じたそうです。
今後は、連携体制にもう1社を加えることも構想しています。
最後に、今後策定を目指す事業者へのメッセージを伺いました。
「きっかけは、連携の可能性を広げたいという思いでした。災害時に助け合うことは、同じ地域で暮らす者として当然のことです。また、重要なのは、日々の経営や業務の中で、この計画を「使えるツール」としてどう活かすかだと思います。近隣の企業同士や地域の自治会などで、企業の枠を超えた本当の意味での連携が実現すれば、地域全体がより良くなるはずです。それぞれの得意分野を持ち寄ることで、いざという時に大きな力を発揮できると感じています。」(弦巻氏)
そのため、停電時の対応として、自家発電機の導入なども今後の検討課題としています。
また、計画の社内周知についても課題を感じているといいます。計画については、弦巻では月次の定例会の場で説明し、給食センターではLINEで共有しましたが、社員の反応は薄く、実際に災害が発生しないと実感を持ちにくいと感じたそうです。
今後は、連携体制にもう1社を加えることも構想しています。
最後に、今後策定を目指す事業者へのメッセージを伺いました。
「きっかけは、連携の可能性を広げたいという思いでした。災害時に助け合うことは、同じ地域で暮らす者として当然のことです。また、重要なのは、日々の経営や業務の中で、この計画を「使えるツール」としてどう活かすかだと思います。近隣の企業同士や地域の自治会などで、企業の枠を超えた本当の意味での連携が実現すれば、地域全体がより良くなるはずです。それぞれの得意分野を持ち寄ることで、いざという時に大きな力を発揮できると感じています。」(弦巻氏)
- 本事例のポイント
- 株式会社弦巻の取組の特徴は、企業間連携を前提とした事業継続力強化計画を策定し、異なる業種同士が協力して対応力を高めている点です。卸売業と給食事業という異なる特性を持つ企業が、それぞれの役割を踏まえて連携することで、実効性のある体制を構築しています。
また、専門家の支援を受けながら複数の部署が参加して計画を策定したことで、現場に即した内容となりました。実際の豪雨対応を通じて、計画が迅速な判断と行動につながることも確認されています。企業同士が日常的な関係を基盤に連携体制を整えることは、地域全体の事業継続力を高めるうえで有効な取組といえます。