中小企業のレジリエンスを高める都市づくりへ 仙台市が進めるBCP支援プロジェクト
仙台市
- 市長
- 郡 和子
- 業種
- 公務(地方公共団体)
- 所在地
- 宮城県仙台市青葉区国分町3丁目7番1号
- 職員数
- 14,887人(令和7年4月1日時点)
- 拠点
- 本庁舎、北庁舎、二日町分庁舎など(いずれも仙台市)
宮城県の県庁所在地であり、東北地方唯一の政令指定都市として、行政・経済・防災の中枢を担う自治体です。多様な都市機能と災害対応の知見を生かし、持続可能なまちづくりを推進しています。
仙台市では、中小企業の事業継続力を高めることを目的に、BCP(事業継続計画)の策定支援を中心とした「中小企業レジリエンス強化プロジェクト」を進めています。
東日本大震災を経験した都市として、市民の間では防災の重要性が広く認識されていますが、中小企業におけるBCPの策定率は、必ずしも高いとは言えない状況でした。
こうした課題を背景に、仙台市が国連防災機関(UNDRR)の推進する中小企業支援プロジェクトのパイロット都市に選定されたことを契機として、BCP支援の強化を図ろうとするものです。民間企業や市の外郭団体と連携しながら、中小企業の経営基盤強化も意識した支援を展開しています。
東日本大震災を経験した都市として、市民の間では防災の重要性が広く認識されていますが、中小企業におけるBCPの策定率は、必ずしも高いとは言えない状況でした。
こうした課題を背景に、仙台市が国連防災機関(UNDRR)の推進する中小企業支援プロジェクトのパイロット都市に選定されたことを契機として、BCP支援の強化を図ろうとするものです。民間企業や市の外郭団体と連携しながら、中小企業の経営基盤強化も意識した支援を展開しています。
国連プロジェクトを契機に始まったBCP策定支援の強化
仙台市の取組の大きな特徴は、国際的なプロジェクトへの参加を通じて、BCP支援を強化している点にあります。
UNDRRの中小企業支援プロジェクトにおいて、仙台市はバルセロナ(スペイン)、ブリッジタウン(バルバドス)とともに、世界で3つのパイロット都市の一つに選定されました。東日本大震災からの復旧・復興に向けた取り組みや、その経験を踏まえた防災環境都市づくりを進めてきたことが、選定された背景の一つにあると考えています。
一方で、中小企業における防災意識の向上やBCP策定への取組については、課題があると仙台市では感じており、本プロジェクトを通じて、市内中小企業の防災・減災への関心の喚起や、BCP策定・実践的な運用に向けた取り組みを強化したいと考えました。
そこで、今回のプロジェクトを契機として、仙台市ではUNDRRとの連携窓口である防災環境都市推進室と連携し、中小企業支援課にプロジェクトの専任者を配置するとともに、事業者支援のための市の外郭団体「公益財団法人 仙台市産業振興事業団」や仙台商工会議所とも協働しながら取り組みを進めることとしました。
具体的な取り組みとして、まずは市内中小企業の実態を把握するため、アンケート調査を実施し約100社から調査票を回収して分析を行いました。この調査と並行し、建設業、運輸業、卸売業、食品製造業、介護福祉業など、非常時における事業継続性が特に求められる業種を選定し、そうした事業者に対してコンサルティング会社の専門家によるBCP策定の個社支援を行うこととしました。そして、これに専任職員が携わることで、今後、中小企業に対するBCP策定の伴走支援者としての役割を担う「BCPトレーナー」としての育成につなげるという考え方が採られました。
UNDRRの中小企業支援プロジェクトにおいて、仙台市はバルセロナ(スペイン)、ブリッジタウン(バルバドス)とともに、世界で3つのパイロット都市の一つに選定されました。東日本大震災からの復旧・復興に向けた取り組みや、その経験を踏まえた防災環境都市づくりを進めてきたことが、選定された背景の一つにあると考えています。
一方で、中小企業における防災意識の向上やBCP策定への取組については、課題があると仙台市では感じており、本プロジェクトを通じて、市内中小企業の防災・減災への関心の喚起や、BCP策定・実践的な運用に向けた取り組みを強化したいと考えました。
そこで、今回のプロジェクトを契機として、仙台市ではUNDRRとの連携窓口である防災環境都市推進室と連携し、中小企業支援課にプロジェクトの専任者を配置するとともに、事業者支援のための市の外郭団体「公益財団法人 仙台市産業振興事業団」や仙台商工会議所とも協働しながら取り組みを進めることとしました。
具体的な取り組みとして、まずは市内中小企業の実態を把握するため、アンケート調査を実施し約100社から調査票を回収して分析を行いました。この調査と並行し、建設業、運輸業、卸売業、食品製造業、介護福祉業など、非常時における事業継続性が特に求められる業種を選定し、そうした事業者に対してコンサルティング会社の専門家によるBCP策定の個社支援を行うこととしました。そして、これに専任職員が携わることで、今後、中小企業に対するBCP策定の伴走支援者としての役割を担う「BCPトレーナー」としての育成につなげるという考え方が採られました。
本プロジェクトは2026年4月に終了予定で、すでにプロジェクトのKPIとして設定した目標のすべてを達成しましたが、仙台市では、今後も中小企業のBCP策定やブラッシュアップ支援、セミナー開催を引き続き実施予定です。これまでの取組については、ウェブサイトで公開する予定としています。
セミナーから伴走支援までの多層的な支援を展開
仙台市では、今回のプロジェクトを開始する以前から、BCPに関するセミナーを継続的に実施してきました。また、過去には事業継続力強化計画の策定支援として、計画を策定した企業への補助制度なども実施していましたが、UNDRRのプロジェクトを契機として、より実効性のある事業者支援とするための事業を進めています。
現在の事業は、①幅広い業種に対するBCP策定の効果の啓発②BCP策定に取り組む企業への伴走支援③すでに策定したBCPのブラッシュアップという段階的なメニューで構成されています。
まず、中小企業の経営者に対してBCPの重要性を理解してもらうため、仙台商工会議所や金融機関と連携してセミナーやワークショップなど開催しています。セミナーでは、BCPについて、単なる防災対策ではなく、自社の経営を改めて考える機会として策定に取り組んでいただけるよう働きかけを行っています。
次に、BCP策定に取り組みたいと考える企業に対して、BCP策定支援の専門家を抱える企業に委託し個社支援を実施しています。令和7年度は15社に対してBCP策定の支援を行いました。
さらに、ブラッシュアップ支援として、仙台市産業振興事業団の事業者支援の専門家の知見なども活用し、BCPをすでに策定している企業を対象として、計画の見直しや訓練の実施など、実際にBCPを運用する段階まで支援することで、計画の実効性を高める取り組みとなっています。
次に、BCP策定に取り組みたいと考える企業に対して、BCP策定支援の専門家を抱える企業に委託し個社支援を実施しています。令和7年度は15社に対してBCP策定の支援を行いました。
さらに、ブラッシュアップ支援として、仙台市産業振興事業団の事業者支援の専門家の知見なども活用し、BCPをすでに策定している企業を対象として、計画の見直しや訓練の実施など、実際にBCPを運用する段階まで支援することで、計画の実効性を高める取り組みとなっています。
BCPを経営強化の視点で伝える
仙台市では、BCPを防災・減災対策としてというよりも、中小企業の経営基盤の強化につながる取り組みとして捉え、発信することを重視しています。
経営資源が限られる中小企業にとっては、BCP策定にコストをかけても、それがすぐに売上増加など直接収益に結びつかないと考えられがちです。しかし、仙台市では、BCP策定を通じて自社の経営課題を可視化し、その解決に向けて企業全体で取り組みを進めることにより、企業価値の向上に寄与する点を強くアピールしています。
実際に仙台市のプロジェクトで支援を受けた企業からは、これまで漠然としか認識していなかった自社の課題が整理でき、今後取り組むべき方向性が明確になった、という声や、ある会社では、BCP策定を通じて経営理念の浸透が図られ、従業員の人材育成にもつながったという声も寄せられました。
経営資源が限られる中小企業にとっては、BCP策定にコストをかけても、それがすぐに売上増加など直接収益に結びつかないと考えられがちです。しかし、仙台市では、BCP策定を通じて自社の経営課題を可視化し、その解決に向けて企業全体で取り組みを進めることにより、企業価値の向上に寄与する点を強くアピールしています。
実際に仙台市のプロジェクトで支援を受けた企業からは、これまで漠然としか認識していなかった自社の課題が整理でき、今後取り組むべき方向性が明確になった、という声や、ある会社では、BCP策定を通じて経営理念の浸透が図られ、従業員の人材育成にもつながったという声も寄せられました。
課題はBCPの裾野をどう広げるか
一方で、仙台市内の中小企業におけるBCP策定率は全国平均を下回っており、BCPの必要性を意識してもらうための関心の喚起は引き続き課題となっています。BCPの策定率が低くなっている要因として、仙台市では、東日本大震災の経験の風化や、地域経済の産業構造として飲食・小売・サービス業など一般消費者向けビジネスの割合が多いことなどが影響していると考えています。そこで仙台市では、BCPの価値を新たな観点から紹介するためのウェブサイト「BCP SENDAI」を令和8年3月に開設しました。このウェブサイトでは、BCPをビジネスの「お守り」として、日頃から身に付けておくことのメリットや効果についてイラストなどを用いて紹介し、まずはBCPを身近な存在として関心を持ってもらうことを意図しています。こうしたウェブサイトを入口として、BCP策定に取り組んでみようという企業を増やし、これまで実施しているセミナーなど策定に向けた支援につなげていく予定です。
地域全体のBCPを目指して
仙台市では今後、企業単位のBCPにとどまらず、地域全体のレジリエンスを高める取り組みを構想しています。例えば、工業団地単位でのBCP策定を進め、その工業団地の個々の企業のBCPと連携させることで、地域全体で非常時に対応ができる仕組みの構築を目指しています。また、建設業や医療機関、小売業など異業種の企業がそれぞれ役割を分担し、非常時に互いに支え合うことができるような地域ごとのBCP策定の実現も視野に入れた取り組みを行っています。
市の担当者は、「東日本大震災からの復旧復興においても、企業の役割は非常に大きく、そうした非常時において、もし企業活動が維持されなければ、市民生活はもちろん、自治体運営にも大きな影響が生じます。日頃から事業者の皆さんが、BCPをより実効性のある計画として備えていただくことが、企業価値向上だけでなく、地域経済のレジリエンス向上にも重要です。自治体として、引き続き企業のBCP策定支援に力を入れていきたいと考えています」と話しています。
市の担当者は、「東日本大震災からの復旧復興においても、企業の役割は非常に大きく、そうした非常時において、もし企業活動が維持されなければ、市民生活はもちろん、自治体運営にも大きな影響が生じます。日頃から事業者の皆さんが、BCPをより実効性のある計画として備えていただくことが、企業価値向上だけでなく、地域経済のレジリエンス向上にも重要です。自治体として、引き続き企業のBCP策定支援に力を入れていきたいと考えています」と話しています。
- 本事例のポイント
- 仙台市の事例のポイントは、国際プロジェクトを契機として、中小企業のBCP支援を体系的に強化した点にあります。セミナーによる気づきの提供から、専門家による策定支援、さらにブラッシュアップや訓練まで、段階的な支援メニューが整備されています。
また、BCPを単なる防災対策としてではなく、経営基盤の強化や企業価値の向上につながる取り組みとして伝えている点も特徴です。今後は、工業団地単位や地域単位でのBCP構想を進めていくこととしており、自治体が主導する地域レジリエンス強化のモデルとして注目される取り組みといえます。