広域支援体制で小規模事業者を支える       講習と伴走支援で進める事業継続の普及

岐阜県商工会連合会

代表者
坂井田 良道
業種
経済団体(商工団体)
所在地
岐阜県岐阜市藪田南5-14-53 岐阜県OKBふれあい会館9階
職員数
318名
拠点
本部(岐阜市)、岐阜・西濃広域支援室(瑞穂市)、中・東濃広域支援室(加茂郡坂祝町)、飛騨広域支援室(高山市)、42商工会
ホームページ
https://www.gifushoko.or.jp/
岐阜県内42の商工会を会員とする商工会法に基づく公的支援機関。税務・労務・金融支援などの経営改善普及事業や、販路開拓・経営計画策定支援を行う経営発達支援事業を展開している。県内を複数エリアに分けた広域支援体制を特徴とし、地域ごとの特性に応じた支援を行いながら、小規模事業者および中小企業の持続的発展を支えている。
岐阜県商工会連合会と、42の商工会は、中小・小規模事業者の経営支援を行っています。県内全域にわたる支援の充実と支援力の底上げを図るため、岐阜・西濃地区、中濃・東濃地区、飛騨地区の3つのブロック・9つのエリアに区分し、それぞれにブロックマネージャーやエリアマネージャーを配置しています。これにより、特定のエリアに支援が偏ることなく、どの地域の事業者も同じ水準の経営支援を受けられる体制を整えています。
また、岐阜県では県庁のWebサイトに「岐阜県業務継続計画(BCP)」「岐阜県業務継続計画安否確認マニュアル」を公開するなど、県内事業者に対するBCPの普及に力を入れています。同連合会でも岐阜県と連携し、事業継続力強化計画の認定制度の普及促進に取り組んできました。講習会と個社支援を組み合わせた支援により、防災・減災に関する啓発から計画策定までを一体的に支援する仕組みを構築しています。

地域特性と課題から支援の方向性を見直す

 岐阜県内では、豪雨や突風による災害が発生しており、特に河川の氾濫による浸水被害や交通網の寸断が事業活動に影響を与えてきました。一方で、地震などの大規模災害は比較的少なく、事業者の防災意識は必ずしも高いとは言えない状況にあるといいます。
「日々の事業課題が優先され、災害対策は、意識はしていても後回しになりがちです。」(岐阜県商工会連合会 広域推進課 服部専門経営指導員)
特に、小規模事業者は日常業務の優先度が高く、事業継続への取組が進みにくい傾向にあるようです。こうした状況を踏まえ、連合会では「いかに事業者に関心を持ってもらうか」という前段階の支援に重点を置く必要性を認識しました。
 

講習会と個社支援を組み合わせて推進する

事業継続力強化計画の普及にあたっては、エリア区分ごとに事業者向け講習会を開催してきました。2021年以降、県内9地域において毎年講習会を実施しており、これまでに延べ387名が参加するなど、一定の成果を上げてきました。

一方で、意欲のある事業者から順次策定が進んできたこともあり、ここ数年は参加者数の減少が課題となっていました。そこで、新たな取り組みとして、講習会の内容や対象者の見直しを行いました。

事業者向け講習会については、従来は制度の説明や計画の作成方法に重点を置いていましたが、現在は事業者が事業継続を「自分ごと」として捉えられる内容を意識しています。小規模事業者は、災害リスクに対応した事業継続への取組意欲は必ずしも高いとは言えず、従来の計画様式では、着手のハードルが高いという課題がありました。そこで、飛騨エリアでは自社のリスクや優先度の高い課題を整理し、災害対策の一歩を踏み出してもらえるよう、A31枚でBCPを検討できる簡易なシートを新たに開発しました。

こうした取り組みにより、減少傾向にあった参加者数は増加に転じるなど、一定の効果が見られています。講習会を通じて関心を持った事業者に対しては、コーディネーターや専門家による個社支援を実施し、計画策定から申請までを伴走型で支援しています。

経営指導員の営業力強化で普及を後押しする

事業者の掘り起こしを推進していくために、職員にとって必要なスキルを再検討した結果、計画策定スキルよりも、事業者に必要性を認識してもらい、一歩を踏み出してもらうための営業力、すなわち事業者選定能力と提案力に重点を置いた営業力強化研修をスタートしました。
本研修は、事業者のニーズを的確に把握し、適切な提案ができる力を高めることを目的としており、2年計画で、基礎編と実践編に分けて継続的に実施しています。
また、エリアマネージャーが現場に同行し支援力を高める体制も整えており、県内くまなく本取組を推進しています。
 
 職員向け講習会の様子
ジギョケイ推進の歩み

支援を通じて事業者の意識変化を促す

 こうした支援の結果、事業者からは「これまで何も準備していなかったが、整理することができた」「自分では着手できなかったが、取り組むきっかけを得られた」といった声が寄せられています。
また、設備投資の相談をきっかけとして災害時のリスクを整理する中で、事業継続力強化計画の策定につながるケースも見られます。さらに、地域の青年部などが災害現場を視察したことを契機に、防災・減災への意識が高まり、計画策定に至った事例もあります。
一方で、小規模事業者に事業継続力強化計画の策定を促すことの難しさは、依然として大きな課題となっています。そこで、普及用チラシにBCP対策のチェックポイントを示し、「一つでもできていないことがあれば相談してください」といったメッセージを盛り込むなどの工夫を行っています。今後は、マンガを取り入れるなど、より分かりやすく伝える工夫も進めていきたいとしています。
「事業者にとって、事業継続力は影響力が大きい一方で緊急性が低いと捉えられがちで、取組意欲が高まりにくいこともあります。取り組みへの敷居を如何にさげるかが大事なことであると思います。」(岐阜県商工会連合会 広域推進課 中川係長)
そのため、事業継続力強化計画の認定取得そのものに過度にこだわるのではなく、小規模事業者でも取り組みやすい対策から着実に進めてもらうことを重視しています。地域全体の事業継続力の向上を目標に、今後も継続的な支援を行っていく方針です。
 
本事例のポイント
 岐阜県商工会連合会の取組の特徴は、広域支援体制を活かしながら、講習会と個社支援を組み合わせて事業継続力強化計画の普及を進めている点にあります。単なる制度周知にとどまらず、事業者の関心喚起から計画策定までを一体的に支援する仕組みを構築しています。また、指導員の営業力強化に取り組むことで、事業者に必要性を伝える力を高め、普及の裾野を広げています。地域特性や業種ごとの意識の違いを踏まえた支援を行うことで、小規模事業者の事業継続力向上に寄与している点は、他の支援機関にとっても参考となる取組といえます。