生駒商工会議所と保険代理店の連携によるジギョケイ普及
生駒商工会議所
- 会長
- 唐金 吉弘
- 業種
- 経済団体(商工団体)
- 所在地
- 奈良県生駒市元町1-6-12
- 職員数
- 11人
- 拠点
- 本所(奈良県生駒市)
生駒市内の商工業者を会員とする商工団体として、経営相談、資金調達支援、人材育成、創業・事業承継支援など幅広い事業を展開しています。行政や関係機関と連携しながら、地域に根ざした企業活動の持続的発展を後押ししています。2020年3月に事業継続力強化支援計画の認定を取得、2025年2月に変更計画の認定も取得しました。
生駒商工会議所では、損害保険会社、保険代理店が連携し、事業継続力強化計画の策定支援に取り組んでいます。奈良県は、これまで大規模災害の経験が比較的少なく、防災への関心が高い地域とは言えない状況が続いてきました。こうした中、商工会議所と民間企業がそれぞれ抱えていた課題が重なり、地域企業への支援がスタートしました。
地域の災害リスクを伝えることから始める
生駒商工会議所では、2020年3月に1回目の事業継続力強化支援計画の認定を取得し、2025年2月には2回目の認定を受けています。この計画では、平時の取組として、経営指導員が市内事業者を巡回する際にハザードマップなどを用いて災害リスクを説明することや、BCPセミナーを開催して啓発を行うこと、事業継続力強化計画の策定を支援することなどが盛り込まれています。また、災害発生時には、市と協力して復興支援にあたることなども記載されています。
しかし実際には、商工会議所単独でBCP支援を行うには限界があり、具体的な取組が十分に進んでいなかったといいます。
しかし実際には、商工会議所単独でBCP支援を行うには限界があり、具体的な取組が十分に進んでいなかったといいます。
そうした中、約2年前に損害保険代理店から、損害保険会社が全国で推進している事業継続力強化計画策定支援事業の説明を受けました。これを契機として、策定支援に向けた取組が開始されることとなりました。保険代理店側では、損害保険会社の取組を奈良県内で推進するため、連携先を探している状況でした。
生駒市は、1995年の阪神・淡路大震災(平成7年兵庫県南部地震)の際にも、直接被害を受けた事業者がほとんどなく、災害の実体験が少ない地域です。そのため、防災対策の必要性を十分に実感していない企業も少なくないといいます。しかし実際には、生駒市には生駒断層帯が存在しており、この断層帯が活動した場合には、マグニチュード7.0~7.5程度の直下型地震が想定されています。場所によっては、震度6強前後の強い揺れとなる可能性もあります。
生駒市は、1995年の阪神・淡路大震災(平成7年兵庫県南部地震)の際にも、直接被害を受けた事業者がほとんどなく、災害の実体験が少ない地域です。そのため、防災対策の必要性を十分に実感していない企業も少なくないといいます。しかし実際には、生駒市には生駒断層帯が存在しており、この断層帯が活動した場合には、マグニチュード7.0~7.5程度の直下型地震が想定されています。場所によっては、震度6強前後の強い揺れとなる可能性もあります。
また、山の谷間のような地形であることから、陸の孤島となるリスクや土砂災害への懸念もあります。さらに、小規模な河川も点在しているため、浸水の可能性も指摘されています。
「能登半島地震の例もありますし、南海トラフ地震の脅威もありますので、何らかの対策が必要だと思っていました」 (生駒商工会議所 経営支援課 余田氏)
商工会議所との連携が普及の鍵
事業継続力強化計画の策定支援は、商工会議所、損害保険会社、損害保険代理店の3者が連携して実施しています。企業との信頼関係を構築している商工会議所が企業訪問の調整役を担うことになっており、初回訪問は3者で行います。以降の実務的な策定支援は、保険代理店担当者と保険会社担当者の2名体制で実施しています。保険代理店が単独で企業訪問を行っても話を聞いてもらえないケースが多いため、経営指導員が企業訪問に同行し、商工会議所の施策として説明を行うことで、企業が安心して支援を受け入れてくれるといいます。
具体的な内容は以下のとおりです。初回(約1時間)では、策定の全体像や基本的な考え方を丁寧に説明します。2~3回目(各回約2時間)では、策定支援ツールを活用しながら必要な情報の整理・入力を進めていきます。最終回となる4回目では、公式申請様式への転記・内容整理を行い、申請完了までを一貫してサポートしています。
この策定支援については普及促進活動も行っています。商工会議所が月1回発行している広報誌でBCPやジギョケイ策定の案内を掲載しました。また日経新聞にBCP策定に関する記事が掲載されたこともあり、そういったところから一定の関心が集まっていたと思います。
こうした広報活動に加え、2024年度から商工会議所がブース出展している『ものづくりフェア』への共同出展条件として事業継続力強化計画の認定取得を設定したことも市内の優良な製造業への支援を行うきっかけとなったといいます。
具体的な内容は以下のとおりです。初回(約1時間)では、策定の全体像や基本的な考え方を丁寧に説明します。2~3回目(各回約2時間)では、策定支援ツールを活用しながら必要な情報の整理・入力を進めていきます。最終回となる4回目では、公式申請様式への転記・内容整理を行い、申請完了までを一貫してサポートしています。
この策定支援については普及促進活動も行っています。商工会議所が月1回発行している広報誌でBCPやジギョケイ策定の案内を掲載しました。また日経新聞にBCP策定に関する記事が掲載されたこともあり、そういったところから一定の関心が集まっていたと思います。
こうした広報活動に加え、2024年度から商工会議所がブース出展している『ものづくりフェア』への共同出展条件として事業継続力強化計画の認定取得を設定したことも市内の優良な製造業への支援を行うきっかけとなったといいます。
アンケートから始めた事業者ニーズの把握
さらに、支援の対象となる企業を把握するため、生駒商工会議所では会員企業約900社を対象にアンケートを実施しました。アンケートでは、事業継続力強化計画の認知度、取引先からの策定要請の有無、現在の課題、支援希望の有無などについて質問しました。
その結果、取引先から策定を要請されているとの回答は半数以下にとどまりました。比較的規模の大きい企業では要請があるとの回答が見られた一方で、小規模企業では要請がないという回答が多かったといいます。
また、課題としては、人手不足や、ノウハウ・情報が不足しており作り方が分からないといった声が最も多く挙げられました。これらの結果から、災害対策の必要性を感じていながらも、「進め方が分からない」と感じている企業が多いことが明らかになりました。
アンケートで支援を希望した事業者には策定支援を行いましたが、自ら手を挙げた事業者であることもあり、認定取得率は100%だったといいます。
その結果、取引先から策定を要請されているとの回答は半数以下にとどまりました。比較的規模の大きい企業では要請があるとの回答が見られた一方で、小規模企業では要請がないという回答が多かったといいます。
また、課題としては、人手不足や、ノウハウ・情報が不足しており作り方が分からないといった声が最も多く挙げられました。これらの結果から、災害対策の必要性を感じていながらも、「進め方が分からない」と感じている企業が多いことが明らかになりました。
アンケートで支援を希望した事業者には策定支援を行いましたが、自ら手を挙げた事業者であることもあり、認定取得率は100%だったといいます。
成果と今後の課題について
計画策定の過程において、企業の防災・事業継続に対する意識が大きく変化するケースも見られました。
ある企業では、従業員の通勤経路に土砂災害の危険があることに気づいたことをきっかけに、そのリスクを従業員へ周知するようになりました。また、建設業の企業では、職人が全国各地の現場へ向かう際に、現場地域のハザードマップや避難所情報を事前に共有する取り組みへと発展しました。
一方、今後の課題としては、さらなる普及拡大が挙げられます。今回の取り組みにより、一定程度の潜在ニーズを掘り起こすことはできましたが、生駒市内には約3,000社の事業者が存在します。今後、より広く普及を図るためには、追加的な周知活動に加え、地域で存在感のある企業に広報役を担っていただくなどの取り組みが必要であると考えています。
また、新たな支援ニーズとして、介護福祉分野への対応も進みつつあります。介護福祉事業者は特にニーズが高く、事業継続力強化計画の策定に加え、BCPの策定、さらには従業員全員を対象とした勉強会の実施にまで取り組みました。
介護福祉事業ではBCP策定が義務化されていますが、フランチャイズ本部から提供されたひな型をそのまま使用しており、内容を十分に理解しないまま運用している事業者も少なくないのが現状です。
生駒市は製造業が多いことから、今後はサプライチェーン対応を中心に進めていきたいと考えていますが、介護福祉分野におけるニーズも高いため、来年度以降は業種を絞った対応についても検討していく予定です。
ある企業では、従業員の通勤経路に土砂災害の危険があることに気づいたことをきっかけに、そのリスクを従業員へ周知するようになりました。また、建設業の企業では、職人が全国各地の現場へ向かう際に、現場地域のハザードマップや避難所情報を事前に共有する取り組みへと発展しました。
一方、今後の課題としては、さらなる普及拡大が挙げられます。今回の取り組みにより、一定程度の潜在ニーズを掘り起こすことはできましたが、生駒市内には約3,000社の事業者が存在します。今後、より広く普及を図るためには、追加的な周知活動に加え、地域で存在感のある企業に広報役を担っていただくなどの取り組みが必要であると考えています。
また、新たな支援ニーズとして、介護福祉分野への対応も進みつつあります。介護福祉事業者は特にニーズが高く、事業継続力強化計画の策定に加え、BCPの策定、さらには従業員全員を対象とした勉強会の実施にまで取り組みました。
介護福祉事業ではBCP策定が義務化されていますが、フランチャイズ本部から提供されたひな型をそのまま使用しており、内容を十分に理解しないまま運用している事業者も少なくないのが現状です。
生駒市は製造業が多いことから、今後はサプライチェーン対応を中心に進めていきたいと考えていますが、介護福祉分野におけるニーズも高いため、来年度以降は業種を絞った対応についても検討していく予定です。
- 本事例のポイント
- 生駒商工会議所の事例のポイントは、商工会議所、損害保険会社、そしてその代理店が連携し、それぞれの強みを活かして支援先の発掘から認定支援まで行っている点です。商工会議所が企業との信頼関係を活かして支援先を発掘し、損害保険会社と保険代理店がリスク対策に関するノウハウを提供することで、効果的な支援が実現しました。
また、アンケートによるニーズ把握や、広報誌・新聞を活用した周知活動を通じて、支援先を発掘するための取組も参考になります。リスク対応に対する関心が必ずしも高くない地域にBCP支援を届けるための好事例といえます。