計画の5つのステップ~こうやればうまくいく策定の流れ~

まずは取組状況をチェック

今、「自然災害をどう考えていますか?」「災害に備えてどんな防災・減災の取組をしていますか?」と問われたとき、自信をもって答えられるでしょうか。自社はちゃんと準備していると思っていても、もしかしたら徹底されていない事柄やおろそかになっている事柄があるかもしれません。

事業継続力強化計画を策定するために最初に行いたいのは、自社の現状を把握することです。以下に15項目を挙げてみました。自社の事業継続力の取組状況をチェックしてみましょう。

  • 災害が発生した際にも、現在の事業を続けたい。
  • 事業所が立地する場所のハザードマップを見たことがある。
  • 災害による事業への影響を考えたことがある。
  • 役員や従業員の緊急連絡先を整備している。
  • 災害発生時の避難経路や避難場所を社員全員が把握している。
  • 緊急時の設備や機器の停止手順を定めている。
  • 災害直後に連絡する関係者(取引先、金融機関等)を整理している。
  • 被災後の資金繰りに備えて、損害保険・共済への加入や、緊急時の融資制度の活用などを検討している。
  • 被災時の人員確保について、他社との連携などを検討している。
  • 地震や水災に対して、物理的な対応を検討している。
  • 顧客情報や帳簿等、重要情報についてバックアップを作成している。
  • 年に1回、災害に備えた訓練を実施し、積極的に取り組んでいる。
  • 経営陣が事業継続に向けた取組にコミットし、積極的に取り組んでいる。
  • 雇用保険に加入している。
  • 加入している損害保険や共済について、対応する災害の種類や補償対象となる資産の範囲、休業に対する補償などを把握している。

ステップに沿って進めればカンタン

自社の現状をチェックした結果はどうでしたか。

現状を把握したら、次はいよいよ計画策定です。でも、「計画を策定するのは面倒そうだ」「大変そうだ」「難しそう」と感じている方もいるのではないでしょうか。

でも、早々と「無理だ」と結論を出すのは待ってください。計画策定は決して難しくも、大変でもありません。5つのステップに沿って進めていけば大丈夫。むしろ、今、ここできちんと実効性のある計画を立てておけば、災害が発生しても被害を最小限に抑えることができます。「あの時、計画を策定しておいてよかった」と思うはずです。

計画策定の5つのステップ

では、早速、計画策定の5つのステップをご紹介しましょう。

Step 1 事業継続力強化の目的の検討

計画を立てるために最初にやるべきことは目的を明確にすること。自然災害が発生し、事業が続けられなくなると、従業員の雇用が難しくなるかもしれません。自社が生産を担っている部品の供給がストップし、他社の製造を停止させることになるケースも考えられます。そうなると、地域経済やサプライチェーンに影響を与えることになります。
Step 1では、「従業員やその家族」「顧客や取引先」「地域の方々」等、すべてのステークホルダーへの影響を考え、まずは、「何のためにこの取組を行うのか」を明らかにしましょう。

Step 2 災害等のリスクの確認・認識

Step 1では、まず「目的」を考えました。 次は、実際に事業所や工場などがある地域の災害等のリスクを確認・認識しましょう。そのためには、国土交通省や自治体が公開しているハザードマップを確認するのが一番です。

ハザードマップの入手先

ハザードマップをもとに、具体的にどのようなリスクがあるかを意識し、被害を想像してみることで必要な対策が見えてきます。

一口に被害を想定するといっても、被害が従業員(ヒト)に及ぶ場合もあれば、建物や設備などのモノに対するものもあります。効果的な対応策を考えるためにも、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つに分けて考えてみるといいでしょう。

Step 3 初動対応の検討

次は災害発生時の初動対応について考えてみましょう。ここで検討するのは、業種や業態、立地にかかわらず、「人命の安全確保」「非常時の緊急時体制の構築」「被害状況の把握・被害情報の共有」です。

人命の安全確保では、従業員の避難、安否確認をどのように行うか、顧客をどう避難させるかなど、平時から取り組んでいることも活用しながら対応策を考えるとよいでしょう。

非常時の体制についても、平時の体制を活用するとよいでしょう。既存の経営会議に緊急時の役割を追加するなど、非常時の役割を決めておくことがポイントです。その際、組織の一部に連絡がとれないなど機能しない場合も想定し、代替体制も決めておきましょう。

被害状況の把握と情報の共有については、平時の情報報告体制が整備されていれば、いざという時にもその体制を活用し冷静に対応できます。まだ整備されていないなら、これを機に整備し活用することで、平時の業務効率の向上にも役立てるとよいでしょう。

Step 4 ヒト、モノ、カネ、情報への対応

Step 4では、Step 2で検討したリスクに対して、どのような対応を行うのが効果的かを検討します。

取組を進める具体的な対策の中には、一定の資金が必要となるものもあるでしょう。事業継続力強化計画が認定されると税制優遇を受けられるものもありますから、事業継続力強化計画認定制度のメリットを十分に確認しながら検討することをお勧めします。

Step 5 平時の推進体制

事業継続力強化計画を本当に実効性のあるものにするためには、平時から繰り返し取り組むことが大切です。

例えば、東日本大震災で津波による甚大な被害を受けた地区では、継続的に避難訓練が実施されています。災害時はどうしても気が動転し、冷静に判断ができなくなり、こうすべきだとわかっていても実行できなかったり、落ち着いて行動できなかったりするものです。そこでモノをいうのが日ごろの取組です。

年1回以上、避難訓練を実施し、その結果をフィードバックして取組内容の見直しを図ることが実効性をより高めることになります。計画策定では、そうした平時の推進体制を検討することも大切です。