どんな災害が起こりうるの?~ハザードマップを見てみよう~
リスクを知るところから始まる
「対応すべきリスクや影響」がわからなければ、本当に実効性が期待できる対策を立てることはできません。日常のビジネスにおいても、取引高の増大や新規取引の獲得という目標を立てたら、取引先のさまざまな企業情報を入手し、どのようにアプローチするか考え、「相手を知る」ということを試みているはずです。災害対策でも、まずは「相手を知る」ことが重要です。
事業継続力強化計画で「相手を知る」とは、実際に事業所や工場がある地域にどんな災害等のリスクがあるかを確認すること。そこで活用したいのがハザードマップです。
ハザードマップを確認しよう!
自然災害による経済損失は非常に大きくなります。2015年1月に報告された、1980年から2014年までの世界の主な自然災害で経済損失が最も大きかったのは、2011年3月11日発生の東日本大震災です。その額は2兆1000億ドル(被災時のレート換算)に上ります。
また、1985年から2015年の被害総額を2014年の人口で割った額を各国別に算出すると、日本は3,385ドルにもなります。1ドル=110円で換算すると、37万円余りです。決して小さな額ではなく、備えの必要性を示す数字といえるでしょう。
ハザードマップは自然災害が発生したときの被害を予想し、地図化したもの。国土交通省をはじめ、都道府県や市町村が作成し、ホームページで公開されています。
ハザードマップからは以下のような点が確認できます。
- 震度5以上の地震が想定される地域か?
- 台風、豪雨、津波による浸水が想定される地域か?
- 想定される浸水深はどのぐらいか?
- 土砂災害の危険性がある地域か?
- ため池決壊の危険性がある区域か?
- 豪雪による被害が想定される地域か?
「国土交通省ハザードマップポータルサイト」には、防災に役立つさまざまなリスク情報を一つの地図上に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」と、地域のハザードマップを検索できる「わがまちハザードマップ」があります。
通常、ハザードマップは、洪水、土砂災害、津波などの災害ごとに作成されています。「重ねるハザードマップ」を使うことで、たとえば洪水のリスクだけでなく、「通行止めになるおそれがある道路」の情報がわかり、避難ルートを考えるのに役立ちます。
社屋と工場が別にある場合は、両方のハザードマップを確認しましょう。それによって、事業活動に甚大な影響を与えるリスクが何かが見えてくるはず。リスクを確認したら、次は事業を継続するために必要な拠点について、事業活動に甚大な影響を与える自然災害等を1つ以上、想定して計画を策定しましょう。
影響のある自然災害が特定されたら、地震ならば予想震度や津波の予想高さ、水害ならば浸水の予想高さ等を具体的に申請書に記載しましょう。
感染症のリスクについては、日ごろから最新かつ正確な情報を入手することが大切です。たとえば新型コロナウイルス感染症であれば、厚生労働省のHPで情報を確認することに加え、都道府県が毎日、感染者の発生状況を発表していますから、自治体のサイトも忘れずに確認しましょう。
災害の影響を想定してみよう!
事業継続力強化計画認定申請書の「自然災害等の発生が事業活動に与える影響」欄では、考えられる影響を「人員に関する影響」<ヒト>、「建物・設備に関する影響」<モノ>、「資金繰りに関する影響」<カネ>、「情報に関する影響」<情報>、「その他の影響」<その他>の5つの項目に分けて記載しましょう。
影響を想定する際には、自然災害や感染症によって全般的に発生する「事象」と、災害が発生した際に事業継続が阻害される弱点となる「脆弱性」を掛け合わせてどんな影響があるかを考えてみるといいでしょう。
計画をする前に(概要)
単独型の計画を立てる
感染症対策について