BCPに効く太陽光発電という選択肢

BCPに効く太陽光発電という選択肢

~災害に強く、環境にもやさしい企業戦略~

近年、企業に求められる課題は複雑化しています。事業継続計画(BCP)の強化、脱炭素社会への対応、そして電力コストの最適化。これらを同時に満たす解決策として、太陽光発電と蓄電池の導入が注目されています。なぜこの組み合わせがBCPに有効なのか、どのような導入事例があるのか、そして実際に導入するためのステップやコスト面のポイントを解説します。
目次
なぜ太陽光発電がBCPに有効なのか?
導入事例から学ぶ成功のポイント
コストと補助金 — 投資回収の現実性
導入のステップ — 失敗しないために
まとめ — 三位一体の効果で企業を守る

なぜ太陽光発電がBCPに有効なのか?

BCPとは、災害や停電などの緊急事態が発生した際に、企業が事業を継続できるようにする計画のことです。日本は地震や台風など自然災害のリスクが高く、停電による業務停止は企業にとって致命的な損失を招きます。
ここで太陽光発電と蓄電池の組み合わせが力を発揮します。
平常時のメリット
太陽光で発電した電力を自家消費することで、電気代を削減し、省エネを実現。
再生可能エネルギーの利用により、カーボンニュートラルへの貢献も可能です。
非常時のメリット
停電時には、蓄電池に貯めた電力を非常用電源として活用できます。
通信機器、サーバー、照明、冷暖房など、事業継続に不可欠な設備を稼働させることができるため、最低限の業務を維持できます。
この仕組みにより、電力会社からの供給が途絶えても、企業は「止まらない体制」を構築できるのです。

導入事例から学ぶ成功のポイント

事例① 自治体・福祉施設・避難所
東日本大震災以降、停電対策として蓄電池の需要が急増しました。
ある自治体では、太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、72時間の電力供給を確保。これにより、防災拠点としての機能を強化し、地域継続計画(DCP)にも貢献しました。
事例② 製造業(検査装置メーカー)
新社屋建設時に補助金を活用し、太陽光70kW+蓄電池32kWhを導入。
災害時にはサーバーや避難スペースに電力を供給できる体制を整えました。
結果として、電気代削減、CO₂年間38トン削減、事業継続性向上を実現。
補助金により初期投資も軽減できました。
事例③ 非製造業(物流業)
物流業では、地震による物流停止リスクを回避するため、オンサイトPPA方式※で太陽光+蓄電池を導入。
停電時でも在庫管理や通信機器を稼働でき、CO₂排出も12%削減。
初期投資負担を軽減しながら、BCPと環境対策を両立しました。
※オンサイトPPA:Power Purchase Agreement(電力購入契約)
企業や施設の敷地内に太陽光発電設備を設置し、その設備で発電された電力を第三者(PPA業者)から長期契約で購入するしくみ。
利用会社は、この設備の初期費用を負担しません。

コストと補助金 — 投資回収の現実性

導入には、太陽光パネル・蓄電池・工事費用などで数百万円規模の初期費用が必要です。しかし、ここで重要なのは補助金や税制優遇の活用です。
補助金・税制優遇制度
再エネ導入補助金、BCP強化支援制度、固定資産税減免などを利用することで、初期投資を大幅に軽減できます。
投資回収の考え方
電気代削減効果に加え、災害時の損失回避という「見えないコスト削減」も考慮すれば、中長期的には十分に回収可能です。
特に、電力価格の高騰リスクを考えると、再エネ導入は経済的にも合理的な選択といえます。 

導入のステップ — 失敗しないために

① 現状分析:
電力使用状況を把握し、非常時に稼働すべき設備を特定します。
② 設計:
必要な発電容量・蓄電池容量を算定し、自動切替装置の導入を検討します。
③ 業者選定:
補助金申請サポートが可能な専門業者を選び、導入計画を策定します。
④ 運用・メンテナンス:
定期メンテナンス、発電量モニタリング、BCPマニュアルへの反映、従業員訓練を実施し、実効性を高めます。

まとめ — 三位一体の効果で企業を守る

太陽光発電と蓄電池の導入は、
  1. BCP対策(災害時の事業継続)
  2. 省エネ(電気代削減)
  3. カーボンニュートラル(環境負荷低減)
という“三位一体”の効果をもたらします。初期投資は必要ですが、補助金や電気代削減、災害時の損失回避を考えれば、経済的にも合理的な選択です。
さらに、災害対策としての自立型電源の確保は、非常時に化石燃料を使った発電や輸送に頼る必要を減らし、結果としてCO₂排出抑制に寄与します。つまり、災害に強い体制を整えることは、同時にカーボンニュートラルへの移行を加速させる取り組みでもあります。

カーボンニュートラル相談窓口

【記事執筆者】

独立行政法人 中小企業基盤整備機構
経営支援部 企業支援課  小杉 和弘