事業活動を包括的に補償する保険について

2021.12.17保険

1.はじめに

前回のコラムでは、企業が事業を営む上で抱えるリスクに対して、大きく4つのリスクの対処法をご紹介いたしました。4つの対処法とは、リスクの回避、リスクの軽減、リスクの保有、リスクの転嫁です。

このうちリスクの転嫁は、保険会社等の金融機関に一定の金銭を支払うことで、リスクが生じた際の損失を金融機関に補填してもらうことです。

今後のコラムでは、リスクの転嫁方法の1つである損害保険について深掘りをしていきます。

弊社を含めた損害保険会社は、中小企業様向け損害保険のパッケージ商品を提供しています。その中でも商工三団体が提供する団体保険制度は、団体割引が適用され、割安に補償に加入することができお得なものとなっています。商工三団体とは、「日本商工会議所」、「全国商工会連合会」、「全国中小企業団体中央会」のことをさします。

商工三団体を契約者とする団体保険制度について、弊社でご用意している制度は、「ビジネス総合保険」、「業務災害補償制度」、「休業補償制度」です。

今回のコラムでは「ビジネス総合保険」について内容のご説明をし、次回以降「業務災害補償制度」と「休業補償制度」に関するご説明をいたします。

2.「ビジネス総合保険」とは

「ビジネス総合保険」では、事業活動を取り巻く様々なリスクを1つの保険でまとめて補償することが可能です。

「ビジネス総合保険」が提供できる補償は、大きく分けると休業に関する補償、賠償責任に関する補償、財産に関する補償、工事に関する補償です。

従来の保険契約ではこれらの補償をバラバラに契約していたため、ダブリやモレの発生可能性があると言われていました。そこで弊社はこれらの補償を1つの契約にまとめることで、それぞれの企業に適した保険を1回の手続きでご提供できるようにしました。また、各企業の業務内容によって、これらの補償から必要な補償を選択することが可能です。

3.「ビジネス総合保険」の補償内容

それでは「ビジネス総合保険」の各補償についてご説明をします。

 

まず、事業継続力強化の観点から改めて注目をされている、休業に関する補償についてご説明をします。

 

休業に関する補償では、企業が使用する建物等が損害を受け、休業することによって生じる売上高の減少を補償します。火災・自然災害により建物が被害を受け休業せざるを得ない場合は、事業が中断し売上がなくなることから、キャッシュが入ってこなくなります。ここで経営の大きな負担となるのが人件費をはじめとする「固定費」の支払いです。固定費は事業を中断している間も支出が必要となるため、現預金がどんどん目減りし、資金繰りは急速に悪化してしまいます。長期間にわたり事業が中断すると固定費の支払いに耐えられず、従業員を解雇せざるを得ない事態や最悪の場合、倒産に至ることも考えられます。

      

休業に関する補償では、休業による売上減少高に対して、予め設定した補償割合(粗利益率以下の割合で設定頂きます)に応じて保険金を支払います。また営業継続費用保険金という、事務所や店舗、代替機械の借入費用に対しても保険金が受け取れるため、営業活動の継続が可能となります。さらに、オプションで特約を付帯することにより、仕入先や納品先の物件に損害が生じたことで事業が継続不可能となった場合も補償されます。

昨今、猛威を振るう新型コロナウイルス感染症による休業に対しても、保険金が受け取れます。具体的には、施設で感染者が発生し休業した場合の休業による売上高の減少のほか、施設の消毒費用やPCR検査の費用等も保険金の対象となります。

*1:1回の事故につき10億円が限度になります。

次に、賠償責任に関する補償です。賠償責任に関する補償では、企業の事業活動を取り巻く賠償責任に関するリスクを包括して補償します。具体的には次の7つの基本補償から企業の事業内容に応じた補償を選択することが可能です。

特に以下⑤でご説明する、サイバー・情報漏えい事故の補償は、事業継続の観点からも重要です。サイバー攻撃は年々拡大しており、令和2年度のサイバー犯罪に対する検挙数は約1万件となります。特にセキュリティ対策の不十分な中小企業にサイバー攻撃を仕掛け、パソコンを支配した後に、そのパソコンを用いて取引先の大企業などに攻撃を仕掛けることが主流となっています。このサイバー犯罪は「踏み台攻撃」と言われていますが、最初に被害を受けた中小企業にも大企業に対する賠償責任が発生する場合がある他、多額の原因調査費用が発生すると言われています。そして最悪の場合には取引停止のリスクもあります。

このように、事業継続力強化の観点からも重要なサイバーリスクに備えるべく、保険の手配をされることをお薦めいたします。

【賠償責任に関する補償でご提供可能な7つの基本補償】

①施設・事業活動遂行事故の補償:

企業施設の所有・使用・管理や事業活動の遂行に起因する対人・対物事故による賠償責任を企業が負担することによって生じる損害を補償します。

  • 例1:自転車で出前の配達中、通行人とぶつかりケガをさせた。
  • 例2:建設現場で工具が落下し、通行人がケガをした。
  

②生産物・完成作業事故の補償:

企業の生産物や事業活動の結果に起因する対人・対物事故による賠償責任を企業が負担することによって生じる損害を補償します。

  • 例1:製造した弁当の中に不良品があり、食中毒を起こしてしまった。
  • 例2:製造・販売した自転車が安全性を欠いていたために、利用者がケガをした。
  

③管理下財物事故の補償:

業務により管理を行っていた財物が損壊したことにより、財物の所有者に対して賠償責任を企業が負担することによって生じる損害を補償します。

  • 例1:点検作業中の配管を破損した。
  • 例2:修理のために預かっていた機械を、従業員の不注意による火災で破損した。
  

④借用不動産損壊事故の補償:

借用不動産の損壊について貸主に対して賠償責任を企業が負担することによって生じる損害を補償します。

  • 例:賃貸している店舗が調理中の火事で焼失した。
  

⑤サイバー・情報漏えい事故の補償:

サイバー攻撃や情報漏えいに起因して、賠償責任を企業が負担することによって生じる損害を補償します。

  • 例1:パソコンがコンピューターウィルスに感染し、取引先にもメールを経由して感染が広がり、データを消失させた。
  • 例2:顧客へのダイレクトメールの作成・発送を委託した外部の業者が顧客情報を流出させた。その後、一部の顧客からプライバシーの侵害を理由に損害賠償を請求された。
  

⑥リコール事故の補償:

リコールを行うことにより企業がリコール費用を負担することによって被る損害を補償します。

  • 例1:製造したイスの脚が折れてケガをするおそれがあることが判明したため、回収を行った。
  • 例2:製造した化粧品の使用期限の期日が誤って表示されていたため、回収を行った。
  

⑦弁護士費用等(事業用)の補償:

企業が所定の業務に関係する被害について、弁護士費用や法律相談費用を負担する場合に補償されます。

  • 例:顧客から悪質なクレームを繰り返し受けた。対処方法について法律相談を行った。

賠償責任に関する補償では上述の7つの基本補償がありますが、基本補償以外にも業種に応じた様々な特約(オプション)を用意しています。

  

3つ目の補償は財産に関する補償です。財産に関する補償では、企業が所有する建物、設備・什器、屋外設備装置、商品・製品等に生じるリスクを補償します。

具体的には、①火災、落雷、破裂・爆発、②風災、雹災、雪災、③給水設備事故の水濡れ等、④騒擾、労働争議等、⑤車両・航空機の衝突等、⑥建物外部からの物体の衝突等⑦水災、⑧盗難、⑨電気的・機械的事故、⑩その他偶然な破損事故等が生じたことによって、企業の財産に損害が生じた場合に補償されます。

また、財産に関する補償では、様々な特約を付帯することが可能であり、代表的な特約として、地震危険補償特約や輸送中の商品や製品の損害を補償する輸送中商品・製品等の補償拡大特約があります。

最後に工事に関する補償について説明をします。工事に関する補償となることから、建設業者向けの補償となり、工事現場内の様々な財産に生じるリスクを補償します。

具体的には、工事現場に存在する工事の目的物(建設中のビル等)や工事用材料などに対して、財産に関する補償と類似した補償を提供します。また、工事に関する補償では、作業員の取扱上の過失により、保険の対象となる物体に損害を与えた場合も保険金の対象となります。工事に関する補償においても様々な特約をご用意しており、例えば、工事の目的物の引き渡し後の保証期間中の事故にも対応ができる保証期間に関する特約があります。

以上の4つが「ビジネス総合保険」における補償となります。各企業は、企業の業務内容に合わせた補償内容を選択し、モレ・ダブリのなく事業活動全般のリスクをカバーいただくことが可能です。

事業活動全般に関するリスクについて、ご検討をされたい方は、保険会社や取扱保険代理店にぜひご相談ください。

(ご注意)
本コラムはリスクファイナンスの方法について記載したコラムであり、保険募集を目的としてものではありません。

【執筆者】

東京海上日動火災保険株式会社

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