損保代理店がジギョケイの策定に注力した理由②
[顧客の未来をともに考える企業へ]

2022.01.17事業継続力強化計画を策定したい
損保代理店がジギョケイの策定に注力した理由①<br>[顧客の事業継続を守る]

本動画では、4回シリーズの記事をまとめてご紹介しております。
ぜひ記事と合わせてご覧いただければ幸いです。

顧客の事業継続力強化計画(ジギョケイ)の策定を支援している岡山県倉敷市の損害保険代理店、株式会社 三備保険事務所(代表取締役:小松原博幸氏)。顧客を支援するにあたり、同社がまず取り組んだのは、自社の事業継続力強化計画の策定だった。同計画の策定をして新たに浮き彫りになった自社の課題とは? また、事業継続力強化計画を顧客向けのドアノックツールとして活用を決めた理由などを聞いてみた。

BPC策定で見えてきた課題。防災への意識が強くなった

2011年3月に起きた東日本大震災を機に、大手損害保険会社は全国にある代理店のBCP(事業継続計画)策定を急いだ。当然のことながら、岡山県で損保代理店を運営する株式会社 三備保険事務所にも声が掛かり、代表取締役の小松原博幸氏は、中国地区で開催されたBCPに関する研究会に参加した。

「話を聞いていくうちに、弊社は水島港の入り江から約2キロのところにあるので、地震による津波が来たらたちまち被災すると思いました。このとき初めて、BCPによる防災対策の必要性を感じました」(小松原氏)

後日、小松原氏は早速自社のBCP策定に取りかかった。だが、検討していくと、勤務中に地震が起きたら従業員はどういう手順で避難すればいいのか。出社途中に災害に遭遇したらどういう判断をすればいいか、など問題が山積みになった。

そこで、同社営業部部長の熊本雄介氏と次長の梶房弘和氏を呼び、自社のBCPの取り組みをこの3人で検討、意見を出し合いながら情報を共有することにした。BCPの策定に取り組んだ梶房氏は、

「大手保険会社が製作したBCP策定シートを参考にしながら、弊社が対応しながければいけないものを新たに作成しました。それをベースに従業員の意見をまめと、避難場所や災害時の対応などを盛り込んだ一冊の避難マニュアルを作成、これを従業員に周知することにしました」(梶房氏)

BCP策定の必要性を感じ、すぐに災害時の対応、行動ルールを決めた。しかし、この時点では自社のSNSでBCPの取り組みを発信する程度に過ぎず、顧客にアプローチする話まで及んでいなかったという。

自社の事業継続力強化計画の策定をして、従業員の危機意識が高まったという梶房氏。
自社を俯瞰して見ることで、何がリスクなのかを改めて知ることができたという

事業継続力強化計画で、より実践的な災害対策を実現

2019年10月に、前述した保険会社とは別の保険会社から、事業継続力強化計画の策定の話を持ちかけられた。それを聞いた小松原氏は、当初事業継続力強化計画の内容の詳細を知らなかったが、その後調べていくと、それが防災・減災対策に特化した計画である、BCPより書類を簡潔に作成できる、国からの認定が受けられるなどの点が魅力であると感じた。

「2018年6月に西日本豪雨を経験し、従業員の出社の是非を問われたことがありました。そこで、出勤中トラブルに巻き込まれる恐れがある場合は、あえて出社しなくてもいいというルールを新たに設けることが必要だと感じました。このように、それまでのBCP策定で作った災害対策では対応できない部分を事業継続力強化計画の策定の際に盛り込むことができたと思います」(小松原氏)

緊急時のルールは、運用しながら状況に応じて常に見直すことが大切である。三備保険事務所はすでにBCPの策定をしており、災害時の避難マニュアルを作成していたが、事業継続力強化計画の策定を進めていくと、新たな項目を盛り込む必要性を感じた。こうして、より実践的な災害対策を可能にした。

そして2020年3月、三備保険事務所は事業継続力強化計画の認定事業者になった。

令和2年(2020年)3月31日に自社の事業継続力強化計画の認定を受けた三備保険事務所。
顧客を支援するにあたって、まずは自社の事業継続力強化計画の認定を急いだ

倉庫には、災害時に必要な水や食料、毛布、簡易トイレなどを常に準備している

顧客支援は将来的な付加価値の創出につながる

三備保険事務所は認定事業者になり、顧客に事業継続力強化計画の策定を支援するサービスを開始した。では、そうした顧客の支援にはどういった狙いがあるのか、小松原氏に聞いた。

「やはり災害リスクと保険は総合的に考える必要があると思います。顧客の事業継続のためにBCPについて一緒に考えることは、私たち損保代理店にとっても、将来的に付加価値の創出につながると考えています。事業継続力強化計画の書類作成はBCPより簡潔にまとめられることもあって、これはドアノックツールになると思いました」(小松原氏)

小松原氏は、営業にアクションをひとつ加えることで、顧客の懐のより深い部分に入り込むことができると語る。

「弊社では保険を販売する際、ハザードマップを使って状況を確認しながら、契約の交渉を進めています。そうすることで、顧客は自社の安全な部分とリスクの部分はどこなのかを区別して考えることができるようになります。そうした対策にひとつひとつ応じることで、これは事業継続力強化計画でできる部分、こちらは保険でカバーする部分、といった具合にどちらに該当するのかを把握しやすくなります」(小松原氏)

ハザードマップを見せるだけでも、顧客とBCPに関して対話するきっかけができる。そうした話し合いの積み重ねで顧客と信頼関係を深めていけば、代理店は保険を売るだけが目的ではなく、顧客の将来を一緒に考えるサポーターとしての役割を担うことができるだろう。

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