ジギョケイを“作って終わり”にしない! 認定事業者と支援機関を対象にした実態調査から見えてきた、 “動けるジギョケイ”にするためのポイント
近年、激甚化する自然災害、巧妙化するサイバー攻撃、そして感染症の流行など、中小企業を取り巻くリスクは多様化しています。これら多様化するリスクへの対策として、中小企業のための取り組みやすいBCPと位置づけられているのが「事業継続力強化計画(通称:ジギョケイ)」です。
制度創設から約7年が経過し、認定事業者は着実に増えています。しかし、以下のような課題や悩みを抱えている企業・支援者の方も多いのではないでしょうか。
- 「うちは大丈夫」と、まだ計画づくりに着手していない
- 補助金の加点目的に作って、引き出しにしまったままになっている
- 地域の防災力を高めたいが、取引先にどうアプローチすべきか分からない
中小機構では、認定事業者約900社へのアンケートと、先進的な取り組みを行う事業者・支援機関へのヒアリングを行い、その実態をまとめた『事業継続力強化計画等に関する調査報告書(令和8年7月)』を作成いたしました。
本ページでは、この報告書の要点を、読者の立場に合わせて分かりやすくご紹介します。
未策定の事業者へ
「まさか」を「もし」に変えるだけで、平時の経営も強くなる
自然災害について「自社には起きない」と考えてしまう経営者は少なくありません。しかし、災害への備えは、経営者に求められる重要な責務です。「まさか」ではなく「もし」という発想で捉え直すことが、すべての第一歩となります。 ヒアリングにおいて、多くの事業者から「小さく始めて大きく育てる」ことの重要性が示唆されました。できることからで構いませんので、まずは第一歩を踏み出してください。
データが証明 ジギョケイは「防災」のためだけのものじゃない!
報告書によると、ジギョケイを策定・運用したことで、実に全体の4分の3以上の事業者が経営面でも何らかの効果を実感しています。
| 期待できる主な効果(複数回答) |
割合 |
| 社内のリスク意識向上 |
42.2% |
| 緊急時の対策整備による安心感の醸成 |
25.9% |
| 業務改善・生産性向上 |
25.5% |
| 取引先や金融機関からの信用力向上 |
17.5% |
「ジギョケイの実行や運用の過程で社員間のコミュニケーション活性化やエンゲージメントの向上」という事例も見られます。ジギョケイの策定は、平時の経営基盤も強靱にする絶好のチャンスです。
策定済・未運用の事業者へ
計画から“動ける状態”へシフトする
計画は作ったものの、「訓練や見直しまで手が回っていない」という企業は少なくありません。レポートでは、見直し内容について「見直しをしたことがない」と回答した事業者が74.8%に上ることが明らかになりました。
「実際に必要な対応と合っていなかった」というリスク
実際に被災した際、ジギョケイが「役に立たなかった」と答えた数少ない事業者の主な理由は、「実態と内容が合っていなかった」「見直しをしていなかった」という点でした。最初から完璧を目指す必要はありません。大切なのは、継続的な見直しで計画を企業とともに進化させることです。
無理なく継続できる「運用のポイント」
事業継続のために重要なことは、災害発生時に社員一人ひとりが自立的に行動できる状態を平時から整えておくことです。そのために不可欠なのが、訓練、社員周知および教育を通じて、必要な知識やスキルを身に着けることです。また、これらの取組を無理なく継続できるように、日常業務と防災を切り離すのではなく、日頃の業務の延長線上として無理のない運用を考えることも有効です。
- 日常ツールの活用: 安否確認に、普段から使い慣れている社内メールやコミュニケーションチャット(LINEワークス等)を活用する。
- 既存行事との連動: 周知や訓練の時間をわざわざ設けるのではなく、定期的な「会議・朝礼」や「安全衛生教育」「設備点検」のタイミングに合わせて実施する(単独開催よりハードルが下がります)。
- 成果の見える化: 安否確認訓練の返信完了時間を毎回計測し、少しずつタイムが縮まるプロセスを社員と共有してゲーム感覚で巻き込む。
事業者の策定・運用事例
支援者・機関の方へ
真の伴走型支援へ プレゼンスを高める関わり方
商工団体、業界団体、金融機関、士業、コンサルタントといった支援者の皆様にとって、支援先・取引先のジギョケイ策定・運用を支援することは、サプライチェーンや地域経済の強靱化に直結します。
支援を成功させ、プレゼンスを高める
1.外部機関からの働きかけや支援が重要
データによると、策定のきっかけは「外部からの勧めや要請」が36%、策定にあたっては「外部機関等からの支援を受けた」が74.8%であり、ジギョケイの策定に外部機関からの声かけや支援が有効であることがわかります。
2.「策定後」の長期的な伴走体制を整える
現在、策定支援を行う機関は増えているものの、その後のフォローアップ(訓練や見直しの支援)を行っている割合は依然として低い状況です。だからこそ、定期的な接点を持つ皆様が、実行や見直しまで含めた「長期的な伴走支援」を担うことで、他との大きな差別化に繋がります。
支援機関の取組事例
報告書のご案内
今回ご紹介したデータや知見は、本報告書の一部です。報告書には、ジギョケイの認定を取得した事業者に対して実施したアンケート結果として、各企業のジギョケイの策定・運用状況、訓練・教育の実施状況(自然災害・サイバー攻撃・感染症別)、支援ニーズなどを掲載しています。ぜひ詳細データをご参照ください。
調査報告書の概要
- 発行: 独立行政法人中小企業基盤整備機構 災害対策支援部(令和8年7月)
- 名称: 事業継続力強化計画等に関する調査報告書
- 調査対象: 単独型・連携型ジギョケイ認定事業者および支援機関